■同感できるG情報■


日本経済新聞(2010年2月17日)


<国際2面>


[30年ぶり政府保証]


       原発受注競争、米で加速


(その2)


   <本文転載>


 【ニューヨーク=武類雅典】スリーマイル島原子力発電所の事故以来、ほ 
ぼ30年ぶりに、米国が原発の本格推進に動き出した。ブッシュ前政権が推 
進策を打ち出して以降、米国では新増設計画が目白押し。慎重な姿勢だった 
オバマ現政権も石油代替エネルギーの開発に迫られた。アジアや中東など新 
興市場ではすでに原発新設ラッシュが起きている。米国という潜在的な「巨 
大原発市場」が動き出せば、世界の原発ビジネスの競争は一気に加速する。 





   原子力規制委 13計画を審査中

                                                    米原子カエネルギー協会(NEI)によると、原発計画に不可欠な認可を  出す米原子力規制委員会(NRC)が2月時点で13計画(最大22基)を  本格的に審査しているという。しかし、その実現には米政府の認可ばかりで  なく、1基数千億円という電力会社の投資負担を政府がどう側面支援してい  くかがハードルになっていた。                                                           オバマ政権は風力発電や太陽光発電など代替エネルギー開発に積極的だっ  たが、それらは世界最大級のエネルギー消費国である米国を支えるにはなお  力不足だ。ブッシュ前政権同様、「脱・石油」を目指すオバマ政権にとって  原発開発は避けられない課題だった。温暖化対策法案の審議が難航するなか、 原発推進派が多い共和党との距離を縮める狙いも裏にはある。                                             一方、原発関連産業にとって発注元の電力会社に資金面の後ろ盾ができた  ことは事業拡大の好機にほかならない。米政府が今回、電力大手サザンカン  パニーのボーグル原子力発電所2基の建設に融資保証を決めたことについて、 米国に進出している日本の原発機器メーカーは「これを機に米国での原発建  設が前進することを期待している」(東芝)と歓迎する。                                               米政府は融資保証の候補に4カ所7基を挙げたが、東芝と同社傘下の米ウ  エスチングハウス(WH)陣営がボーグル原発を含め、このうちの3カ所6  基を占める。東芝は他の案件でも融資保証の獲得を目指している。                                           三菱重工業も原発建設の融資保証枠の拡大に期待。米ルミナント電力から  大型の加圧水型軽水炉(PWR)2基の受注が内定しており、融資保証枠が  広がれば、自社の案件が融資保証の対象に含まれる可能性がある。                                           しかしリスクもある。ひとつは原発が受注から完成まで長時間かかる「足  の長い事業」であることだ。景気低迷で米国の電力需要は落ち込んでいる。  資金繰りが悪化している電力会社もあり、プロジェクトごとに明暗が分かれ  る恐れもある。                                                                  原発という「政治色」を帯びやすいビジネスヘの懸念も消せない。経済停  滞が続く米国では保護主義的な「内向き発想」が強まりかねないムードが絶  えず残る。東芝系WHや米ゼネラル・エレクトリック(GE)と組む日立製  作所などは別にして、他の外資メーカーにとっては米国市場で思わぬ苦戦を  強いられてもおかしくはない。                     





 ▼スリーマイル島原発事故 1979年3月28日、米ペンシルベニア州 
のスリーマイル島原発2号磯で、冷却水を送り込むポンプが故障で停止。自 
動的に非常用炉心冷却装置が作動したものの、運転員が同装置を手動停止す 
る誤操作が重なった結果、「空だき」状態の炉心の半分が溶融し、周辺住民 
が避難する重大事故に発展した。86年に旧ソ連で起きたチェルノブイリ原 
発事故と並び、原発の「安全神話」に疑問符がつき、日本など一部を除いて 
世界中で原発新設が滞る原因となった。