原発増えてもCO2減らず
電気事業連合会によると、京都議定書の基準年である1990年度の41
7gに対し、2008年度は373g。これだけ見ると10.6%改善した
かに見える。しかし、これは京都メカニズムで獲得したクレジット(排出枠)
を差し引いた数字。これを反映しない実際の原単位は444gと、むしろ6.
5%悪化した。
吉岡教授は「日本は1990年代、大幅に原発が増えたが改善していない。
稼働率が低いうえ、石炭火力の発電量が極端に増えているからだ」と指摘す
る。電事連は2008〜12年度の平均で340gまで減らす目標だが、原
発の稼働率が大幅に上がらなければ、クレジットの大量取得なしでは不可能
だろう。
そもそも政府や電力業界は、原発の新増設を地球温暖化対策の切り札と位
置づけているはず。こうした現状が放置されたままでは理屈が成立しないこ
とになる。
「地球温暖化対策ならば、CO2を排出するものに負荷をかける方法を採
用すべきだ」
政策研究大学院大学の八田達夫学長はこう強調し、炭素税の導入を提唱す
る。「国の政策関与は税を中心にして、民間企業が(税負担を含めた)最少
費用で最もCO2を削減できるベストミックスを考えるように誘導すればい
い」。
CO2排出が少ないほど電力価格は安くなる。火力発電は不利で、原子力
や天然ガス、太陽光や風力など自然エネルギーによる発電は有利になる。環
境を軸に電源間の競争が促進され、原発の必要性は市場が判断することにな
るのだ。原発コストを引き下げる圧力になり、5年前より発電効率が向上し
た自然エネルギーの開発を一段と促進する動機づけにもなる。
この考え方に立脚すれば、原子力、火力、水力など各種発電所に関連した
交付金や補助金を即刻停止する必要がある。国や自治体のさじ加減で発電所
のコスト構造を歪めてしまうからだ。
エネルギー源のベストミックスは政府ではなく、純粋な市場メカニズムに
基づいて決定される仕組みを考えてみてはどうか。そうすれば、使用済み燃
料の再処理工場稼働の是非もおのずと決まってくる。
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