【同感できるG情報】


日経ビジネス(2010年1月18日)


<特集>


   原発漂流


        民主が抱えるもう一つの「普天間」


(その11/12)


<提言編・続き>


 <本文転載>



提言2 炭素税を導入し、市場の判断に任せよ

         
                                 「原発を増やすだけでは、CO2(二酸化炭素)は減らない」                                            こう主張しているのは九州大学大学院の吉岡斉教授だ。その根拠として挙  げているのが、電気を使用した際のCO2の排出原単位(1キロワット時を  発電する際に発生するCO2の量)の推移だ。              




 原発増えてもCO2減らず

                                              電気事業連合会によると、京都議定書の基準年である1990年度の41  7gに対し、2008年度は373g。これだけ見ると10.6%改善した  かに見える。しかし、これは京都メカニズムで獲得したクレジット(排出枠) を差し引いた数字。これを反映しない実際の原単位は444gと、むしろ6. 5%悪化した。                                                                  吉岡教授は「日本は1990年代、大幅に原発が増えたが改善していない。 稼働率が低いうえ、石炭火力の発電量が極端に増えているからだ」と指摘す  る。電事連は2008〜12年度の平均で340gまで減らす目標だが、原  発の稼働率が大幅に上がらなければ、クレジットの大量取得なしでは不可能  だろう。                                                                     そもそも政府や電力業界は、原発の新増設を地球温暖化対策の切り札と位  置づけているはず。こうした現状が放置されたままでは理屈が成立しないこ  とになる。                                                                    「地球温暖化対策ならば、CO2を排出するものに負荷をかける方法を採  用すべきだ」                                                                   政策研究大学院大学の八田達夫学長はこう強調し、炭素税の導入を提唱す  る。「国の政策関与は税を中心にして、民間企業が(税負担を含めた)最少  費用で最もCO2を削減できるベストミックスを考えるように誘導すればい  い」。                                                                      CO2排出が少ないほど電力価格は安くなる。火力発電は不利で、原子力  や天然ガス、太陽光や風力など自然エネルギーによる発電は有利になる。環  境を軸に電源間の競争が促進され、原発の必要性は市場が判断することにな  るのだ。原発コストを引き下げる圧力になり、5年前より発電効率が向上し  た自然エネルギーの開発を一段と促進する動機づけにもなる。                                             この考え方に立脚すれば、原子力、火力、水力など各種発電所に関連した  交付金や補助金を即刻停止する必要がある。国や自治体のさじ加減で発電所  のコスト構造を歪めてしまうからだ。                                                        エネルギー源のベストミックスは政府ではなく、純粋な市場メカニズムに  基づいて決定される仕組みを考えてみてはどうか。そうすれば、使用済み燃  料の再処理工場稼働の是非もおのずと決まってくる。           



(次ページにつづく)