【同感できるG情報】


日経ビジネス(2010年1月18日)


<特集>


   原発漂流


        民主が抱えるもう一つの「普天間」


(その10/12)


<提言編>


 <本文転載>


<提言編>

                                                           

   異説にこそ活路あり

                                                      原子力政策の歪みを放置すれば、日本のエネルギー戦略は競争力を失う。   袋小路から抜け出すには思考停止から脱し、視点を変える必要がある。    民間企業に何を任せ、国がなすべきことは何なのか。           





提言1 脱・思考停止で核燃料サイクルを国際化

        
                                 ここに原子力や核軍縮、国際政治を専門とする学者らが2009年12月  にまとめた1つの報告書がある。                                                          「核軍縮・核拡散防止に向けて:日本からの10の提言」−−。                                           その中で日本の原子力政策の根幹に関わる提言として「核燃料サイクルの  多国間管理」という考え方が盛り込まれている。                                                   概要はこうだ。まず、核不拡散に向け、世界各国のウラン濃縮と再処理施  設を国際管理下に置く。これを複数の国、企業が所有・管理する。@自国内  に施設を置き、他国から出資を仰ぐA他国の施設に出資するBどの国の施設  にも出資しないで国際市場から調達する−−の3つの選択肢から選ぶのだ。                                       これによって透明性が高まり、採算管理も厳格になされる。次に青森県六  ヶ所村の再処理施設の国際化や稼働中止を含めて検討すべきだとしている。  国際化で再処理の需要増が見込まれるのであれば、そうすればよいという。                                       報告書をまとめた代表者は1月1日付で原子力委員会の委員に就任した鈴  木達治郎氏(元電力中央研究所研究参事)である。就任前に取材に応じた鈴  木氏はこう語った。「5年前に原子力政策大綱を作った時は、再処理方針を  変更するとコストがかかるということで、核燃料サイクルを推し進めた経緯  がある。しかし、今、もう一度議論をし直すべきではないか」。                                            現在は使用済み燃料をすべて再処理する方針だが、そもそも電力会社の利  用計画と、再処理したプルトニウムの供給量は合致するのか。鈴木氏は「需  給を厳しくチェックする国際的な枠組みが必要だ」と強調する。                                            この提言はオバマ米大統領が唱えた核物質の国際管理構想にも呼応する。                                       5年前には使用済み燃料を再処理するよりも、直接処分する方がコストは  安いという試算が明らかになり、注目を集めた。しかし、それが核燃料サイ  クルの再検討につながらなかったのは、できるだけ国内でサイクルを完結さ  せるという発想に拘泥したためだ。                   




 中間貯蔵施設の増強も不可避

                                              国際的な枠組みを主導できるのは国際原子力機関(IAEA)しかない。  外務省出身の天野之弥事務局長の就任を機に、日本が核不拡散に貢献する青  写真を描くこともできる。枠組みの中で、日本が持つべきものと、他国に任  せるべきものを峻別する考え方は、日本の核燃料サイクルの閉塞感を打破す  る1つの起爆剤になるのではないか。                                                        では、こうした枠組みができるまでは使用済み燃料をどうするのか。                                         依然、課題は多いが、猶予期間を置く意味では、中間貯蔵施設の増強が必  要になる。東京電力などが青森県むつ市に貯蔵施設を計画するなどの動きは  あるが、再処理施設を中間貯蔵施設としてさらに活用する手立てもある。                                        最終処分場をどうするかという問題も依然残る。ある自民党議員は「海外  で候補地を探るという手もあるのではないか」と提案する。                                              民主党内にも核燃料サイクルのあり方を見直すべきだとの声がある。エネ  ルギー政策に詳しい大畠章宏衆院議員はサイクル自体を否定しないものの、  「使用済み燃料の再処理は全量ではなく、必要な分にとどめるべきだ」と主  張する。近藤洋介・経済産業大臣政務官は「3〜4月頃からエネルギー政策  全般の見直しを始めたい」と意気込む。                                                       民主党政権は、思考停止の状態を放置するのではなく、まず従前の核燃料  サイクルの枠組みを変えるきっかけを作れるかどうかが問われている。   



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