提言1 脱・思考停止で核燃料サイクルを国際化
ここに原子力や核軍縮、国際政治を専門とする学者らが2009年12月
にまとめた1つの報告書がある。
「核軍縮・核拡散防止に向けて:日本からの10の提言」−−。
その中で日本の原子力政策の根幹に関わる提言として「核燃料サイクルの
多国間管理」という考え方が盛り込まれている。
概要はこうだ。まず、核不拡散に向け、世界各国のウラン濃縮と再処理施
設を国際管理下に置く。これを複数の国、企業が所有・管理する。@自国内
に施設を置き、他国から出資を仰ぐA他国の施設に出資するBどの国の施設
にも出資しないで国際市場から調達する−−の3つの選択肢から選ぶのだ。
これによって透明性が高まり、採算管理も厳格になされる。次に青森県六
ヶ所村の再処理施設の国際化や稼働中止を含めて検討すべきだとしている。
国際化で再処理の需要増が見込まれるのであれば、そうすればよいという。
報告書をまとめた代表者は1月1日付で原子力委員会の委員に就任した鈴
木達治郎氏(元電力中央研究所研究参事)である。就任前に取材に応じた鈴
木氏はこう語った。「5年前に原子力政策大綱を作った時は、再処理方針を
変更するとコストがかかるということで、核燃料サイクルを推し進めた経緯
がある。しかし、今、もう一度議論をし直すべきではないか」。
現在は使用済み燃料をすべて再処理する方針だが、そもそも電力会社の利
用計画と、再処理したプルトニウムの供給量は合致するのか。鈴木氏は「需
給を厳しくチェックする国際的な枠組みが必要だ」と強調する。
この提言はオバマ米大統領が唱えた核物質の国際管理構想にも呼応する。
5年前には使用済み燃料を再処理するよりも、直接処分する方がコストは
安いという試算が明らかになり、注目を集めた。しかし、それが核燃料サイ
クルの再検討につながらなかったのは、できるだけ国内でサイクルを完結さ
せるという発想に拘泥したためだ。
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