計画遅延リスクヘの備えも必要
無論、国の強力な支援があるに越したことはない。だが、日本企業はそれ
が十分に見込めないことを見越して動かざるを得ない。
例えばインドとの関係。政策編で見たように、インドとの原子力外交は一
筋縄でいかないのが現実だ。原子力協力協定を結ばない限り、日本の技術は
インドに輸出できない。だが、東芝はその壁を突破しようと知恵を絞る。米
国とインドが協定を結んだことで、米国企業のウエスチングハウスが原発を
輸出する道が開ける。
また、産官複合体で燃料から廃棄物処理までの一貫体制を持つことが、原
発ビジネスで有利に働くことは間違いない。しかし、その仕組みを築けない
日本企業は国際的なネットワークに活路を見いだすしかない。
これまでに米国ではウエスチングハウスが6基、東芝が2基を受注。中国
でもウエスチングハウスが4基を受注した。グループで2015年までに3
9基の受注を目指している。現在年間5000億円程度の原発事業を、20
15年度には1兆円まで増やす計画だ。
だが、順風満帆とは言えない。アレバがフィンランドで直面したように原
発には計画遅延リスクがつきまとう。
東芝はこうしたリスクにも必死になって対応しようとしている。納期順守
のために「6DCAD(コンピューターによる設計)」と呼ぶ技術を導入し
た。3次元(3D)画像でプラントを設計する機能だけでなく、「工事の物
量管理」「工程管理」「人員管理」の3つの要素を追加。部品の到着が遅れ
ても即座に建設手順を修正し、人員配置も平準化できる技術を確立した。
これによって、工期とピーク時の人員をそれぞれ2割削減できるようにな
るという。発注側は納期厳守の実績を重要視する。受注側も工期延長による
コスト増は避ける必要がある。この技術は東芝独自のものだが、今後、ウエ
スチングハウスにも導入する計画だ。
一方、東芝はウエスチングハウスから定期検査や改修を短縮する技術を導
入。タービン高性能化の交換工事は工期を180日から90日に半減するこ
とに成功した。リードタイムを短くするノウハウをグループ内で融通し合う
ことで、商機をきめ細かくつかんでいく。
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