【同感できるG情報】


日経ビジネス(2010年1月18日)


<特集>


   原発漂流


        民主が抱えるもう一つの「普天間」


(その9/12)


<企業編・続き>


 <本文転載>


 計画遅延リスクヘの備えも必要

                                                     無論、国の強力な支援があるに越したことはない。だが、日本企業はそれ  が十分に見込めないことを見越して動かざるを得ない。                                                例えばインドとの関係。政策編で見たように、インドとの原子力外交は一  筋縄でいかないのが現実だ。原子力協力協定を結ばない限り、日本の技術は  インドに輸出できない。だが、東芝はその壁を突破しようと知恵を絞る。米  国とインドが協定を結んだことで、米国企業のウエスチングハウスが原発を  輸出する道が開ける。                                                               また、産官複合体で燃料から廃棄物処理までの一貫体制を持つことが、原  発ビジネスで有利に働くことは間違いない。しかし、その仕組みを築けない  日本企業は国際的なネットワークに活路を見いだすしかない。                                             これまでに米国ではウエスチングハウスが6基、東芝が2基を受注。中国  でもウエスチングハウスが4基を受注した。グループで2015年までに3  9基の受注を目指している。現在年間5000億円程度の原発事業を、20  15年度には1兆円まで増やす計画だ。                                                       だが、順風満帆とは言えない。アレバがフィンランドで直面したように原  発には計画遅延リスクがつきまとう。                                                        東芝はこうしたリスクにも必死になって対応しようとしている。納期順守  のために「6DCAD(コンピューターによる設計)」と呼ぶ技術を導入し  た。3次元(3D)画像でプラントを設計する機能だけでなく、「工事の物  量管理」「工程管理」「人員管理」の3つの要素を追加。部品の到着が遅れ  ても即座に建設手順を修正し、人員配置も平準化できる技術を確立した。                                        これによって、工期とピーク時の人員をそれぞれ2割削減できるようにな  るという。発注側は納期厳守の実績を重要視する。受注側も工期延長による  コスト増は避ける必要がある。この技術は東芝独自のものだが、今後、ウエ  スチングハウスにも導入する計画だ。                                                        一方、東芝はウエスチングハウスから定期検査や改修を短縮する技術を導  入。タービン高性能化の交換工事は工期を180日から90日に半減するこ  とに成功した。リードタイムを短くするノウハウをグループ内で融通し合う  ことで、商機をきめ細かくつかんでいく。                




 日立、三菱重工の迷い

                                                     国際ネットワークの構築で一歩先んじた東芝は、日本の原発メーカーにと  ってケーススタディーとなるのか。                                                         まず、2007年にGEと原発事業を統合した日立製作所。日本と米国に  それぞれ共同出資会社を設立したが、日本では日立が8割の株式を握り、米  国では逆にGEが6割を出資する。                                                         日立の丸彰執行役常務は「日立とGEはイコールパートナー」と強調する  一方、「GEは原発建設の経験が途絶えているので、日立のノウハウを生か  す」と語る。営業については地域ごとに役割分担している。                                              ウエスチングハウスを逃がした三菱重工はその後、アレバとの提携に活路  を見いだそうとしている。現在、次世代炉の共同開発や燃料会社への共同出  資で関係を築いているが、一歩踏み込んでアレバへの出資を検討している。                                       日立も三菱重工も、自社単独では世界的に拡大する原発需要には対応でき  ないという認識は東芝と同じだ。                                                          しかし、日立の場合、2つの共同出資会社の株主構成が異なる状況では、  「日立とGEのどちらが主導権を握っているかは不透明。情報共有もどこま  で徹底しているか疑わしい」(ライバル企業の首脳)との見方がある。三菱  重工もアレバに出資するとしても、その比率はわずかにとどまる見通しだ。                                       東芝はウエスチングハウスへの巨額投資によって財務基盤が脆くなった。  だが、佐々木社長は「苦しい坂道を上らなければ楽になれない」と強調する。                                      もはや原発ビジネスは、内政だけでなく、国家間のパワーバランスや外交  を含めた複雑な因果関係を読み解かなければ成り立たなくなった。                                           日本政府が原子力政策で袋小路に迷い込んでいく前に、日本の原発メーカ  ーは大胆に国を飛び越えたビジネスモデルを築かねばならない。勝った負け  たの「ゼロサムゲーム」ではなく、世界中の案件からきめ細かく実利を吸い  上げる「ノンゼロサムゲーム」を勝ち抜くのが持続的な成長の条件である。 



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