[scene4.フランス・ピュール]
苦悩する原子力大国
パリから東に車で5時間。シャンパンで有名なシャンパーニュ地方にほど
近い集落ピエールに、高レベル放射性廃棄物の処分候補地がある。フランス
放射性廃棄物管理機構(ANDRA)はそこに地下研究所を作った。
昨年12月21日。降り続く雪で辺りには一面、銀世界が広がっていた。
研究所は小さなコンクリート建屋の地下500mにある。
広報担当者は無数のトンネルを縦横無尽に動き回りながら研究内容を説明
した。「様々な計測器を使って放射性廃棄物の地層への影響などを調べてい
る。ここは粘土層に覆われており、地層の変化が非常に少ない」。
処分地確定までの道のりは長い。1970年代から最終処分地を探し、8
8年には4カ所の候補地に絞り込んだが、91年には住民の反対運動で20
年の成果がすべて白紙になった。そこで最終処分ではなく、とりあえず10
0年保存する“埋設管理地”を決める新法を成立させ、94年にようやくビ
ュールなどの候補地を決めた。
フランスのローカルテレビではビュール周辺での反対集会や数百人規模の
デモの様子が放映されている。市長は地元経済の衰退を食い止めるために処
分地の誘致は必要だと説くが、地元の農家を中心に反対の声は絶えない。日
本の原発関連施設と同じ構図だ。
ANDRAのマリー・クロード・デュプイCEO(最高経営責任者)も、
「最も悩ましいのは住民の反対運動だ。外部の反対派が住民を巻き込もうと
する」と認める。2015年までに詳細な処分地を決め、2025年には処
分が始まる予定だ。地元住民を説得できなければ、大きな計画修正を迫られ
る。
日本が手本とする原子力大国。そのフランスですら苦悩の連続なのだ。
課題は、核燃料サイクルだけではない。フランスの原子力国策会社、アレ
バがいみじくもそれを教えてくれた。
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