[scene2.青森]
17回も完成延期
下北半島に横殴りの雪が降りしきる昨年12月下旬、六ヶ所村の使用済み
核燃料の再処理工場の中央制御室。70人の作業員が慌ただしく動き回って
いるが、プラントは止まったままだ。
電力会社が出資する日本原燃は再処理工場を1997年に完成させるはず
だった。しかしトラブルの続発で完成を17回も延期した。次の完成予定は
今年10月で、MOX燃料を作る工場もようやく今年着工する予定であるた
め、電力会社は使用済み燃料の処理をフランスに委託している。
建設コストも雪だるま式に膨らんだ。構想当初は6900億円と見積もっ
たが、2004年時点の試算では3倍の2兆2000億円に達した。日本原
燃や電力会社は否定するが、その後の遅れでコストがさらに膨らむ可能性も
ある。
最大の難関は、再処理の過程で出る高レベル廃液を溶かしたガラスと混ぜ、
容器に封じ込める工程だ。フランスで既に確立した技術を使う手もあるが、
国産技術に固執するあまり、再処理工場全体の完成を遅らせている。
さらにこの「核のゴミ」をどう処分するかという問題がある。高レベル廃
棄物は1000年近く地中深く安全に管理しなければならないが、その処分
地が決まらない。2007年に高知県東洋町が名乗りを上げたが、推進派の
町長が選挙に敗れて白紙撤回した。
原子力行政に詳しい政策研究大学院大学の八田達夫学長は、「再処理の論
理は完全に破綻している」と喝破する。電気事業連合会は2004年、再処
理工場のコストを19兆円と試算した。これは今も原発のコストが安いとい
う主張の根拠だが、使用済み燃料の半分しか処理しないのが前提。すべて処
理すると43兆円に膨らむと国の原子力委員会も認めた。残りを処理する第
2工場の是非は今年、議論が始まる。
この論争は今に始まったことではない。2004年春には核燃料サイクル
の旗振り役であるはずの経済産業省内部から、鬼気迫る異論が噴出していた。
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