
普通の人が省エネに気配りする最大の目的は、家計の中の光熱費を減らすこと
であって、それが地球温暖化の元凶といわれるCO2の排出量を減らすこになる
かどうかは、それほど大きな関心事ではない。
したがって損か得かで物事を判断する習性があるから、例えば、省エネの電化 製品に買い換えるにしても、まだ当面使えそうな電化製品を処分してECO商品 に買い換えるといくら得するか納得できなければ決断できないのである。その点 からしてエコポイント制はある程度功を奏してエコポイントがついた家電製品は その売り上げを伸ばしたといえよう。
一方、冷房の設定温度を上げれば省エネになることは百も承知しているが、地 球温暖化の影響からか熱帯夜で寝付かれない夜が続くと、明日の仕事に影響する からと冷房を付けて快適な睡眠を求めざるを得ないのである。そのような状況を 見て「昔は冷房などなくても真夏でも何とか過ごせた。贅沢になったものだ」と いう話が聞かれ、「昔のことを考えれば、設定温度をもっと上げられるはず」と いう考えはもう通らなくなっている。
我々はこのように分析し、とくに個人の省エネに期待することには限度がある と考えていた。そこで[家庭のCO2、なぜ減らない]と題する日経の解説記事 に目が止まったという訳である。
「まず環境省に向かった。『たしかに家庭から出るCO2は増えています』 と担当者。CO2など地球温暖化の原因となる温暖化ガスは、1997年に 締結した「京都議定書」で主要国の2012年までの削減目標を定めている。 日本は90年度比で6%削減が義務だが、実際の07年度の排出量は9%増 加。工場など産業部門では省エネ対策などが進み、CO2排出量が2.3% 減ったが、家庭からの排出量は実に41.2%も増えた。『それで<エコポ イント>のような政策に力を入れるわけか』」
家庭からのCO2排出量は、減らすどころかむしろ大幅に増やしたが、工場な ど産業部門は省エネ対策を進めることができたという。それは何故か?
産業部門は、常に生産コストに占めるエネルギーコストの割合が、とくに日本 では高いため、国際競争に打ち勝つには是が非でも生産コストを下げなければな らないからだ。地球温暖化を止めるためその元凶であるCO2の排出量を減らさ なければならないという意識とがたまたまマッチしたから、産業部門からのCO 2は移出量を減らすことができたのである。