
「国際原子力機関(IAEA)は、日本の耐震指針の内容を採り入れた新た
な耐震基準案と、地震で被災した原発を復旧させる行動計画をまとめた。2
007年の新潟県中越沖地震で被災した東京電力柏崎刈羽原発での教訓が反
映され、地震国日本の原発の耐震設計が「世界標準」として盛り込まれた。
世界各地で原発建設が加速する中、加盟国の耐震基準作りや改定のひな型に
なる」
我が国の原発は、非常に厳しい安全基準の上に建設されている。それだけ建設 コストも高くなっているが、他の発電方式による発電コストが一様に高くなった 故、原発の厳しくて高い安全コストも十分ペイしているということである。
しかし、諸外国における安全基準は我が国ほどでなかったのだが、コストベネ フィットの観点から、諸外国も日本並みに厳しくしても十分ペイすると判断した のであろう。また、ペイするなら少々厳しくしておいた方が安心度が増すではな いか、といった判断であろう。
このたび国際原子力機関(IAEA)が「日本の耐震指針を採り入れた新たな 耐震基準案と、地震で被災した原発を復旧させる行動計画」を策定したというで はないか。今後、原発の建設を進めようとする国は、このIAEAの耐震基準を お手本に作られるだろうという。
これは我が国にとって極めて有り難いことなのである。つまり、世界に存在す る主要原発メーカー五社のうち三社まで日本企業だが、その日本企業が諸外国へ 原発を売り込む際、お手本となった耐震指針に基づいて設計された原発の建設経 験を十分持っているということになるからである。
「IAEAの耐震基準は今後原発を新設する国が耐震基準をつくる際や、原 発をもつ国が耐震基準を見直す際の参考になる。各国の耐震基準が世界標準 を満たしているか、IAEAが審査するときにも活用される。02年に出さ れた基準を改定した」
新たな厳しい耐震基準に基づいて最初から新設計の原発を受注するメーカーと、 すでに多くの経験を積んできたメーカーのどちらが売り込みに有利かというと、 後者であることはいうまでもない。
「世界では現在、中国やインドネシア、ベトナムなどのアジア諸国、アラブ 首長国連邦などの中東諸国のほか米国などでも、原発の新設や増設を相次い で計画。東芝、三菱重工、日立GEニュークリア・エナジー、仏アレバの各 原発メーカーが激しい受注競争を繰り広げている。日本の耐震設計の手法が 世界標準になれば、国内企業が海外で工事を受注しやすくなる」
ということだが、心配な種が皆無というわけではない。海外からの問い合わせ が殺到した場合、はたして受注する人材、とくにリーダーになりうる人材が十分 育っているかということと、日本企業の主力が海外に傾注された場合、日本国内 の原発建設は疎かになりはしないか、という2点である。
地球温暖化対策に原発は必要不可欠と認識されてきており、その原発建設に日 本企業の経験も必要不可欠と認識されつつあることは確かだ。しかし、その認識 度は諸外国で高く、日本国内では残念ながら低いといわざるを得ない。「灯台も と暗し」という諺があるが、日本国内の原子力認識は「灯台もと暗し」的現象な のかも知れない。
今からでも遅くはない。世界の原子力に対する追い風を受け止められるよう準 備万端整えておくことが日本の務めであろう。仮に受け止められなかったら、そ の時こそ、日本は世界の笑いものに晒されること請け合いである。
「G研」代表