読売新聞(2010年1月4日)


<環境新大陸 @変える>


       EVで暮らし革命


(その3)


 <本文転載>


   電源や情報機器代わりに

                                                           銀色の流線形ボディーに前後4つずつ、計8つの小さい車輪 −−。清水  浩・慶大教授が試作した電気自動車(EV)「エリーカ」は800馬力、最  高時速370キロメートルのスポーツカータイプで、街中で短距離を移動す  るというEVのイメージをくつがえす。                                                       清水教授の運転に試乗させてもらうと、途切れることのない加速で、助手  席に体が吸い込まれるような錯覚を受けた。清水教授は「ワクワクするでし  ょう。EVの潜在能力に誰もが驚き、納得する」と誇らしげに話す。                                          エリーカの最大の特徴は、すべての車輪の中にモーターを設置し、動力を  車輪に直接伝える独自技術だ。モーターと車輪の位置が離れている従来のE  Vと比べて加速性能が飛躍的に向上し、1回の充電で走れる距離が約2倍と  なる。通常はモーターがある床下部分に電池を置けるため、車内も広くとれ  る。                                                                       この独自技術を売り込むため、清水教授らは昨年8月、ベンチャー企業   「シムドライブ」を設立した。車を生産するのでなく、技術を他社に提供し、 技術移転料や特許権などの使用料を得るビジネスモデルだ。大企業を含む多  くの企業から照会があるといい、事業化につながる試作車を年内に他社と共  同開発する。                                                                   ガソリン車の場合、約3万点の部品を組み合わせるため、生産は鋳造や組  み立ての高度なノウハウを持つ大手自動車メーカーに限られる。一方、EV  は部品数が1万点程度で済むとされ、モーターや電池などの中核技術がその  まま車の性能を左右するため、他業種やベンチャーが参入しやすくなる。                                        クライスラーやゼネラル・モーターズ(GM)など自動車大手が相次いで  経営破綻(はたん)した米国では、グーグルの共同創業者も出資した「テス  ラ・モーターズ」が高性能EVの量産を始めた。中国では、電池メーカーだ  った「BYD」が現地の自動車メーカーを買収し、EV生産に乗り出した。                                       日本ではまだ、本格的なEVベンチャーは見られないが、清水教授は「E  Vが普及することで様々なメーカーが参入し、自動車業界の勢力図が変わる  可能性もある」と指摘する。                      



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 EVは、移動手段としか見られていなかった車の使い方を変えるかもしれ 
ない。                                
                                   
 トステム住宅研究所(東京・江東区)は、太陽光で発電した電力などをE 
Vに蓄え、それを照明や家電などの電源として利用できる住宅の事業化を目 
指す。三菱商事や東京工業大などとの共同実験で、「EV電源」を効率的に 
活用するための最適な配電システムを探っている。            
                                   
 同研究所主席技術研究員の野口浩行氏は「EVの電池を活用すれば、家庭 
の光熱費を最大10分の1まで減らせる」と話す。            
                                   
 EVに搭載されている標準的な電池は、一般の住宅で使用する電気の1、 
2日分を蓄えることができる。現在の電池の性能でも、普及している自動車 
の約6割がEVに切り替われば、EVの蓄電量で日本の家庭の電力使用量  
(1日あたり約7億8000万キロワット時)をまかなえる計算だ。    



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