読売新聞(2010年1月4日)


<環境新大陸 @変える>


       EVで暮らし革命


(その2)


 「ガソリン車の場合、約3万点の部品を組み合わせるため、生産は鋳造や組 み立ての高度なノウハウを持つ大手自動車メーカーに限られる。一方、EV は部品数が1万点程度で済むとされ、モーターや電池などの中核技術がその まま車の性能を左右するため、他業種やベンチャーが参入しやすくなる」

 電気自動車の開発製造ビジネスには「他業種やベンチャーが参入しやすくなる」 というところが非常に重要で、従来のガソリン車中心の自動車産業には、各国と も超大企業でないと参加が困難であった。ところがモーター駆動の電車などは重 電機メーカーの範疇であったし、蓄電池メーカーも十分に参加できる技術を持っ ているといえよう。ただ、販売網は既存の自動車産業傘下の流通網をそのまま利 用した方が有利かも知れない。

 いずれにせよ電気自動車に切り替われば、色々な企業が参加できるようになる から、産業構造も大きく変化するであろうということだけは確かである。

 「EVに搭載されている標準的な電池は、一般の住宅で使用する電気の1、 2日分を蓄えることができる。現在の電池の性能でも、普及している自動車 の約6割がEVに切り替われば、EVの蓄電量で日本の家庭の電力使用量 (1日あたり約7億8000万キロワット時)をまかなえる計算だ」  

 電気代の安い深夜電力を利用して電気自動車の蓄電池に充電しておき、自動車 を走らせる必要がない時には、電気代の高い昼の時間帯にエアコンの電源として 電気自動車の蓄電池の電気を利用することも可能だ。電力需要の平準化にも貢献 できるであろう。ただ、電気自動車の電気も家庭内で消費する電気と同じだから、 「家庭の電力使用量をまかなえる」とはならない。ただ、充電に使う電気を深夜 電力や自家発電の太陽光発電で得られた電気を使うと、電力会社に支払う電気代 は多少安くなるかも知れない。

 「また、将来的に街中でインターネットに接続できる時代になれば、手軽に 音楽やゲーム、映画などを取り込み、パソコンよりも大型の画面で移動中や 移動先で楽しむという可能性も考えられる。『米アップルの高機能携帯電話 機<iphone(アイフォーン)>の<車版>』(経済産業省自動車課) とも言える使い方だ」                         

 電気自動車の蓄電池は従来のガソリン車に搭載されている蓄電池より、何倍も の容量を持っているから、その電気が使えれば、大型の電気製品を使用すること は可能になることは確かだ。しかし、だからといって移動中も大型画面を運転手 が見ることは御法度である。

 ただし、感知度が優れたセンサーを搭載して、障害物を走行先に見つければ即 座に急ブレーキが自動的に働いて衝突を免れるといった安全面の技術が格段と進 歩し、交通事故が格段に減少するかも知れない。

 「EVでは昨年7月、三菱自動車が世界初の量産モデル『アイ・ミーブ』を 発売し、富士重工業も「『プラグインステラ』の納車を始めた。日産自動車が 今年後半に発売する『リーフ』は、他の2車種のような軽自動車の改良版で はなく独自のデザインを採用しており、将来的には高級車タイプも投入する 方針だ」                               

 すでに発売を開始した、あるいは近々開始できる電気自動車のほとんどは軽自 動車のようである。電池の製造コストがまだまだ高いことと1回の充電で可能な 走行距離が限られることなどがなかなか大型車の電気自動車化に踏み切れない理 由のようである。

 ただ新しい車の普及には政府が率先して購入しないと、一般国民の間になかな か普及しないだろう。大臣の公用車などは率先して電気自動車を採用すべきであ る。永田町や霞が関の周辺に充電器のインフラを電力会社にでも整備させれば、 待機時間の長い公用車の充電は可能だし、東京23区内を走らせているくらいな ら、走行距離もそう必要としないだろう。

                「G研」代表

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