◆廃棄物処分は国の責任
発電所から出る二酸化炭素は国全体の34%(07年度)を占める。家庭
で充電できるプラグインハイブリッド車や電気自動車の登場で、動力源がガ
ソリンエンジンから電気モーターに置き換わる。電気を使う場面が増え、エ
ネルギー供給の43%(06年度)を担う電力の割合は確実に高まる。発電
の低炭素化はなおさら大切になる。
いま発電所の燃料は石炭と石油が計4割弱、原子力が25%、自然エネル
ギー(水力を除く)は1%に満たない。太陽光の発電コストは火力の3〜7
倍、風力も2倍弱と自然エネルギーはまだ割高だ。二酸化炭素の排出量が極
めて少ない原子力発電の比重を高めざるを得ない。
原発について民主党は「安全第一に、国民の理解と信頼を得ながら着実に
取り組む」とマニフェスト(政権公約)で示した。鳩山政権はこれに沿い1
8年度までに運転開始が予定される9基の新増設を後押しすべきだ。そのた
めにも、電力供給量に占める原発の割合などの中長期的な数値目標を示すこ
とが望ましい。
新潟県中越沖地震の影響で60%まで低下した原発全体の稼働率の回復も
急務だ。仮に90年代末の稼働率84%を維持していれば、日本全体の温暖
化ガス排出は5%分(90年度ベース)減っていたと政府は試算する。
被災した原発の運転再開には万全を期すべきだ。一方、操業中の原発の稼
働率を高めるため、欧米のように運転を止めず点検・保守をする技術の導入
なども課題になる。
さらに重要なのが、原子力事業で官民の役割分担を見直すことだ。現在、
使用済み核燃料の再処理や廃炉などで生じる放射能の強い廃棄物の最終処分
場選びは基本的に電力業界の責任と費用負担で進んでいる。
再処理には約19兆円の事業費が見込まれる。これに加えて、日本では寿
命を終えた原発は同じ場所で建て替えざるを得ず、安全な解体技術の開発や、
解体費用の積み立てで多額の追加負担が見込まれる。
これらすべてを電力会社が負うのでは投資リスクの大きい原発の新増設が
停滞する恐れがある。政府は一定の責任を果たさざるを得ない。
特に最終処分場選びは、名乗りを上げる自治体がなく、見通しが立たない。
政治主導で候補地を選び、地元に受け入れを働きかけるなど、国の積極的な
関与が欠かせない。
一方、自然エネルギーを増やすため民主党は政権公約で「20年までに1
次エネルギーに占める割合を10%程度に高める」という目標を示す。温暖
化ガスの25%削減を本気で目指すなら「10%」に上積みが必要だ。フラ
ンスは20年までに23%、ドイツも18%と野心的な目標を掲げる。
太陽光発電の普及に向け、主に家庭を対象に「固定価格買い取り制度」が
1日に始まった。余った電気を電力会社が従来の約2倍の値で買い取り、発
電設備を買った人が10年程度で元手を回収できるようにする。電力会社に
かかる費用は電気料金に転嫁するので国民の負担(標準家庭で当初月30円
程度)も生じる。
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