日本経済新聞(2009年11月2日)

<社 説>

[25%削減 いかに実現 B]

   低炭素の要の原発に正面から向き合え


(その1)


 オランダの首都コペンハーゲンで開かれている国連の気候変動枠組み条約第1 5回締約国会議(COP15)では、先進国側と途上国側との溝がなかなか埋ま らない模様で、ポスト京都議定書はどうなることやら、案じられるところだ。

 地球温暖化を止める方策として、経済発展のスピードを落とさなければならな いものなら、どの国も積極的に取り組まないだろう。とくに途上国は、今まさに 先進国に追いつけ追い越せと経済発展に取り組んでいる最中だから、先進国側か ら相当の経済援助がないかぎり、莫大な資金を要するような温室効果ガスの排出 削減策には取り組めないだろうと推測される。

 ただ、効果ガス排出の削減策が近い将来の経済発展に繋がる有効な投資になる なら、途上国も喜んで協力するに違いない。そのような地球温暖化対策にもなり、 かつまた経済発展にも繋がる投資にもなる、一石二鳥を可能にする方策は何か? それは原子力発電所の建設をおいて、今のところ他になさそうである。

 世界各国が競って原発建設に向かうとたちまちウラン資源の枯渇が起こるだろ う。また、政治的に不安定な国まで自由に原子力平和利用が許されれば、核兵器 への転用疑惑も持ち上がるだろう。

 これらの不安材料を払拭して安全かつ秩序だった原子力の平和利用を可能にす るためには、ウラン資源および核燃料サイクルや高レベル廃棄物の国際管理シス テムの構築がまず必要になるだろう。また、消費燃料以上の燃料を生み出す夢の 原子炉、すなわち高速増殖炉の商業化を急ぐべきである。

 これだけのことを可能にする能力を有しているのは、他でもない日本である。 今こそ日本は、世界のエネルギー供給のため、地球温暖化阻止のため、官民挙げ て立ち上がるべきである。

(次ページにつづく)