(その5)
<1面の本文転載>
「すばらしい、すばらしいコペンハーゲン」という有名な歌がある。デン マークの童話作家、アンデルセンを題材に、1952年に作られたミュージ カル映画「アンデルセン物語」の劇中歌である。 今年12月、デンマークの首都で開かれる気候変動枠阻み条約第15回締 約国会議(COP15)に、世界の指導者たちが集まる時、多分この歌は何 回も演奏されるだろう。 だが、コペンハーゲン会議そのものは、環境問題に関する国際的な見方が、 早急に、もっと現実的なものにならない限り、「すばらしい」とは程遠いも のになるだろう。 世界の気候に、何らかの影響を及ぼすような包括的な文書が締結できるか といえば、国際的な合意はないに等しい。これは、決して驚くべきことでは ない。各国政府は、環境面で長期的な恩恵を受けるために、短期的、中期的 な経済成長を犠牲にするつもりはないからである。 世界の発展途上国の多くが不況のさなかにある現在、これは特に言えるこ とである。米国も事情は同じである。経済回復を遅らせる危険があり、しか も高いコストと増税につながるのなら、温室効果ガスの排出に上限を設けな いだろう。 発展途上諸国は、こうした上限を設けることに、米国以上に反対している。 例えば、インドの4億人には、いまだに電気がない。もっと大量に石炭を 使えば、国民の3分の1に電力を行き渡らせることができると分かれば、イ ンドがそれを控えることなど、全く期待できない。 国民の多くが相対的に低い生活水準にある中国も、排出の上限設定には、 どんな場合でも賛成しないだろう。 こうした姿勢は、地球規模の新しい条約が結ばれる可能性を一段と暗いも のにしている。なぜなら、先進諸国の側は、当然ながら、貧しい諸国も問題 解決の一翼を担うべきだと主張するからである。 コペンハーゲン会議が失敗すれば、その波及効果は甚大なものになりかね ない。 短期的には、気候変動に関する懸念が、貿易障壁を新たに設ける口実に使 われるだろう。排出削減に向け、十分な努力をしていないと見なされた国や 企業に対しては、いわゆる「炭素税」が、輸入課徴金として導入されるだろ う。 経済危機の結果として、すでに世界貿易は急減している。新たな関税が導 入されれば、貿易は必然的に一段と逼迫(ひっぱく)する。さらにそれは、 雇用喪失を引き起こし、新たな摩擦につながるのである。 |