(その4)
やっとのことで米国も動き出し、自動車の燃料効率について、従来よりは
るかに厳しい新基準を採用した。政策的な規制を行えば、器具や家や機械の
エネルギー効率を高めることができる。
こうした改革は、富裕国にも貧困国にも、等しく喜ばれるはずである。エ
ネルギー支出と石油輸入への依存が減るからである。
自動車の燃料効率を大幅に上げる規制は、地球温暖化の問題が台頭してきたか らというより、アメリカの主要産業であった自動車メーカーの大規模な業績不振 によるところが大きいといわざるを得ない。
安いガソリンを湯水のように使う大型のガソリン車をどんどん市場に送りだし てきた自動車産業もかげりを見せ始め、政府による多額の支援策が議論されるよ うになると、メーカーも消費者も自動車によるCO2ばらまき現象に気付きだし たようである。それは自動車の燃料効率についてアメリカ国民は考える機会を与 えられたということである。
コペンハーゲンに集う200近い国々の代表が目標とすべきは、大々的な 包括的合意ではなく、もっと控えめな諸合意にある。
○○年までに温室効果ガスの排出量を××年を基準に△△%まで減らそうとい った「大々的な包括的合意」を決めるのではなく、例えば、「新車の販売はすべ て電気自動車にしよう」とか、「化石燃料の火力発電の新規建設を禁止して原発 を建設しよう」といった「控えめな諸合意」を目ざすべきということだろう。
原子力もまた、関心を向けるべき分野である。太陽や風など、再生可能な エネルギー源も同様である。ここでもまた、新しい技術の共有とともに、貧 しい諸国が温室効果ガスの排出削減政策を採用するのに際し、その費用を支 援する国際的な仕組みが必要とされる。
貧しい国はえてして政治的にも不安定である。政治的不安定な国なる故、核兵 器への転用を心配するあまり、原子力の平和目的であっても原子力発電技術の共 有さえ躊躇してきたのである。原発による安価な電気の供給における技術協力を 怠ってきたが故、貧しい国はますます貧しくなり、CO2の排出量も減らすどこ ろか増やしてきたのである。
貧しい国に、先進工業国の技術援助や資金援助によって原発の建設が進めば、 CO2の排出量で心配することもなく、豊富な電力の供給が可能になり、じょじ ょに経済も上向くであろう。電力の供給と地球温暖化の両方の問題を一挙に解決 できること請け合いである。
コペンハーゲン会議では、各国に排出上限を課すような協定は求めようも ない。そのための共通認識が存在しないからである。それよりも、もっと地 道な措置を講じるべきである。
ハース氏の論文の結論に、最早我々がコメントを挟む余地はないだろう。コペ ンハーゲンでのCOP15の会議には、日本の鳩山首相やアメリカのオバマ大統 領など参加国のトップも揃って参加すというが、各国に排出量削減目標達成義務 といった排出上限を義務化するといった協定は最早望むべくもないようである。
だからといって地球温暖化対策が不必要になった訳では決してなく、むしろそ の必要性、重要性はますます増しているといえよう。だからこそ、実現可能な、 どの国も経済発展に逆行することなく、むしろプラスになるような「地道な措置」 を講じるべき、とハース氏は結論づけている。我々も諸手を挙げて賛同するもの である。
「G研」代表