読売新聞(2009年11月30日)

<地球を読む>===========「地球温暖化」

       控えめな合意目指せ

     石炭、原子力などに集中を

                               リチャード・ハース

                               米外交問題評議会会長


(その3)


 経済危機の結果として、すでに世界貿易は急減している。新たな関税が導  入されれば、貿易は必然的に一段と逼迫(ひっぱく)する。さらにそれは、  雇用喪失を引き起こし、新たな摩擦につながるのである。         

 炭素税なる新しい税制が施行されれば、それはいわば「新たな関税」が掛けら れたことも同然になり、日本国内での経済活動がますます難しくなって国際競争 から日本企業が取り残されることになりかねない。そうなれば、日本企業は日本 から脱出し、炭素税などに苦しむこともなくなる国へ移住するだろう。そうなれ ば国内の経済はますます疲弊し、雇用も落ち込むこと必定になるだろう。

 温室効果ガスの排出量を削減しないと、いずれはさらなる気候変動につな  がる。次にはそれが、厳しい貧困や、住民の大規模な移動、国外への移民、  水不足、病気の蔓延(まんえん)、嵐の激化や増加などをもたらす。その結  果として、破綻(はたん)国家や国家間紛争を増やすことにもなりかねない。

 温室効果ガスの排出量削減に成功しないと、地球温暖化がますます進むことに なり、その影響によって色々な問題が出てくるだろう。ここに挙げられた被害は、 特別誇張されたのではなく、昔から言われていた現象である。ありとあらゆる問 題を想定してその対策もそろそろ練っておかなければならないだろう。

(次ページにつづく)