トラブル続き 10年遅れ
◆温暖化対策
「トラブルなどで延期の繰り返し。ようやくたどり着いた」。前原子力安
全委員長で、1960年代からプルサーマルの研究を行ってきた松浦祥次郎・
原子力安全研究協会理事長(73)は、プルサーマル始動の日を待ち望んだ
原子力関係者の声を代弁した。
プルサーマル発電は、資源の大半を輸入に頼る日本が進める、核燃料サイ
クル政策の柱だ。全国53基ある原発から出る使用済み核燃料は、年間約1
000トン。この中には燃え残りのウラン、新しく生成されたプルトニウム
がある。これらを回収して、MOX(ウラン・プルトニウム混合)燃料とし
て再利用する核燃料サイクルは、資源の有効利用、放射性廃棄物の減少など
につながると期待される。鳩山政権も地球温暖化対策として、二酸化炭素を
ほとんど出さない原発を重視し、プルサーマル発電推進の姿勢を打ち出して
いる。
国際的にも意義がある。既に国内には、使用済み燃料から再処理したプル
トニウムが約28トン(今年6月現在)存在する。日本は、軍事転用が可能
なプルトニウムを必要以上に持たないと国際公約しており、公約を守るため
にもサイクルの実現は不可欠だ。
◆地元と良好
核燃料サイクルの方式は、プルサーマルによるものと、現在研究開発段階
にある高速増殖炉を使うものと2通りある。その一翼を担う高速増殖炉「も
んじゅ」が95年にナトリウム漏れ事故を起こして計画は頓挫。電力各社で
つくる電気事業連合会(電事連)は97年、2010年までに16〜18基
の原発でプルサーマル計画を導入する計画を公表した。しかし、99年、イ
ギリスから関西電力に運び込まれる予定のMOX燃料の検査データ捏造(ね
つぞう)が発覚、さらに02年には東京電力による原発トラブル隠しが明る
みになった。相次ぐ不祥事に、地元の理解が得られず、プルサーマル導入が
大幅に延期された。
先行した東電や関電が脱落する中、原子力発電比率が約4割と高い九電が
一番手に浮上した。94年の原発稼働以来、トラブルの報告がなく、地元自
治体などとの関係も良好だったことも背景にある。
|