(その2)
プルトニウムは、本来高速増殖炉の燃料として使用すれば、消費するプルトニ
ウム以上の量のプルトニウムが生まれるという、実に有り難い夢のようなシステ
ムに組み込めるのである。この高速増殖炉が商業的に使えるまでには色々な開発
のためのステップを踏まねばならず、それにはもう少し時間がかかるという。
高速増殖炉の商業化実現を待ってプルトニウムの利用は本格化するのだが、そ の前に現在稼働している軽水炉でも利用して、プルトニウムに慣れ親しんでおく ことも重要ということで、プルサーマル計画が持ち上がったという訳だ。
しかし、このプルトニウムの原子炉燃料として利用することに反対する人は未 だに少なくない。その主な理由は、プルトニウムが核兵器に転用されやすいとい う危険性をはらんでいるからである。
核兵器には、広島に投下されたウラン型と、長崎に投下されたプルトニウム型 がある。ウラン型の原爆を造るには、ウランの濃縮度を100%近くまで高める 物理的な技術と電力が必要。一方のプルトニウム型原爆を造るには、プルトニウ ムを化学的な方法で純度を上げる必要がある。化学的な方法で純度を上げる技術 は、物理的な方法で濃縮度を上げる技術より簡単だから、プルトニウムの核兵器 転用の危険性が、ウランのそれよりも高いといわれてきた所以である。
しかし今日、マスコミを賑わせている北朝鮮やイランの核兵器転用の疑義問題 で、両国はプルトニウムの抽出はもちろんのこと、ウラン濃縮技術もすでに持ち 合わせているといわれている。すなわち、ウランの核兵器転用の危険性は、プル トニウムの核兵器転用の危険性と同程度になりつつあるといえよう。
したがって貴重な純国産資源であるプルトニウムの平和利用から規制しようと するのではなく、核兵器への転用禁止は、国際原子力機構(IAEA)などで対 応しなければならないだろう。
我が国のプルトニウムの軽水炉での利用、すなわちプルサーマル計画は、玄海 原子力発電所3号機でようやく実現したが、我々原子力屋は新たな感慨はない。 何故なら、軽水炉で生まれたプルトニウムを少々身綺麗にして同じ軽水炉に戻っ てきたととらえているからだ。そしてこの自家製ともいえるプルトニウムと同じ 原子炉で使うことに何故世間は騒ぐのか、理解に苦しんでいるところである。
今回紹介する読売の記事には次のように簡単明瞭にまとめているパラグラフが あるから、まずそこから紹介していこう。
「プルサーマル発電は、資源の大半を輸入に頼る日本が進める、核燃料サイ クル政策の柱だ。全国53基ある原発から出る使用済み核燃料は、年間約1 000トン。この中には燃え残りのウラン、新しく生成されたプルトニウム がある。これらを回収して、MOX(ウラン・プルトニウム混合)燃料とし て再利用する核燃料サイクルは、資源の有効利用、放射性廃棄物の減少など につながると期待される。鳩山政権も地球温暖化対策として、二酸化炭素を ほとんど出さない原発を重視し、プルサーマル発電推進の姿勢を打ち出して いる」
プルサーマル計画を「核燃料サイクル政策の柱」と表現するのは少々大袈裟だ とは思うが、貴重な純国産資源であるプルトニウムを有効利用しない手はない。 むしろこのパラグラフで気になる表現は、鳩山政権が地球温暖化対策として「プ ルサーマル発電推進を打ち出している」というくだりだ。
それが本当なら、閣内にいて原発反対を主張している社民党とは一日も早く連 立を解消すべきだろう。