CO2対策 「最大限の活用を」
原発推進の大臣意見は、13年度の着工をめざしている川内原発3号機の
増設計画の環境アセスの手続きで出された。小沢鋭仁環境相が9月28日付
で、原発の許認可権を持つ直嶋正行経済産業相に提出した。
環境アセス法に基づく原発への環境相意見は8件目になるが、過去に原発
推進を打ち出したことはない。環境省が編集している今年の「環境白書」で
は「発電過程で二酸化炭素を排出しない原発については、今後も安全確保を
大前提に、一層の活用を図る」と記されている。しかし、エネルギー安定確
保の観点から推進の旗振り役となってきた経産省と違い、環境省が独自の権
限で積極姿勢をみせたことはこれまでなかった。
今回の意見書で重視したのは、温室効果ガスの排出削減だ。「排出削減に
は、原発の着実な推進が必要」と示し、「わが国有数の温室効果ガス多量排
出事業者」とした九電に原発の活用を求めた。
環境省の環境影響審査室の担当者は朝日新聞の取材に「原発推進は京都議
定書目標達成計画や『低炭素社会づくり行動計画』で政府方針として閣議決
定されており、従来の姿勢を変えたわけではない」と説明する。
しかし、原発増設を積極的に認める代わりに、老朽化した火力発電所の効
率化、とりわけ石炭火力の稼働を抑制して二酸化炭素(CO2)の削減を促
そうという狙いは明確だ。日本では温室効果ガス排出が90年以降、9%
(07年度)も増えた。価格が安いがCO2排出が多い石炭火力ヘの依存を
高めたことが理由の一つだ。
環境省は今年に入り、発電所のアセス意見に温暖化対策の観点から指摘を
続けている。今年5月には、福島県いわき市に計画されている石炭火力発電
所の建設について「実行可能なCO2削減対策が講じられていると言えず、
温暖化対策上問題があり、計画については是認しがたい」との大臣意見を出
した。
今回の川内原発増設への意見書も同じ流れで、麻生前政権時から省内で検
討されていた。
社民党党首の福島瑞穂・消費者担当相は今回の意見書の内容に「(連立3
党協議で)自然エネルギー促進やCO2削減は合意したが、CO2削減のた
めに原発推進とは合意に至っていない」と反発するものの、小沢環境相は記
者会見で「原発の安全性を確保していかなければいけないと同時に、温暖化
対策として極めて有効な手段という両面を加味した」と述べた。
専門家の判断はわかれる。
環境アセスメントを専門とする原科幸彦・東京工業大教授は「長期的な観
点から原発活用の是非に踏み込むのならば、放射能汚染や放射性廃棄物など
の問題も含めて総合的に取り上げるべきだが、今回は温暖化対策だけ、非常
に狭い範囲でとらえている」と疑問を投げかける。
一方、環境法を専門とする浅野直人・福岡大教授は「環境アセスも、従来
型の地域的な公害や自然保護だけでなく、長期的な地球環境の観点も重要だ」
と一定の評価をしている。
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