(その2)
「資源大国オーストラリアでウラン開発が活発化している。埋蔵量は世界ト
ップレベルだが、原子力発電所を持たない同国では採掘されたウランは輸出
に回され、環境問題などへの配慮でこれまで新たな開発に歯止めがかかって
いた。政策転換に対し環境汚染や核拡散への懸念を指摘する声も出ている」
いまのところ原発を持たないオーストラリアは、掘り出したウランのすべてを 輸出にまわしているから、我が国のような原発先進国にとってオーストラリアは 有り難い貿易相手国といえよう。
ただ、朝日の記事でも指摘しているように、いまのところオーストラリアも順 調にウラン資源の開発を進めてくれているが、決して環境汚染や核拡散の懸念が 完全に払拭された訳ではない。また、日本のようなウラン輸入国にとって、次の ような新たな問題も浮上しつつあるから、楽観はしておれないのだ。
「外資系の権益獲得の動きも目立つ。なかでも中国企業の動きが目立ち、今 年9月には『中国広東核電集団』が北部準州のウラン鉱床の権益を持つ豪州 の探鉱会社を買収すると発表した」
つまり、ウラン資源のぶんどり合戦がすでに始まっているということである。 中でも手強いのは中国で、建設中の原子炉も含めて現在11基、約900万キロ ワットを持っているが、2020年には3600万キロワット程度にまで拡大す る計画だという。
ウラン資源保有国が持つもう一つ頭の痛い問題は、輸出相手国が軍事転用しな いか監視責任である。ウラン資源は有望なドル箱に違いないが、されど核拡散は 何としても阻止せねばならないからである。
「核兵器保有国である中国には07年に軍事転用しないなどの二国間協定を 結んだうえで08年末から輸出を始めたが、ラッド首相はインドに対しては NPT未加盟を理由に輸出しない姿勢を貫く」
中国は核保有国だが、国連安保常任理事国でもあって一応核保有が認められた 国だから、無下にウラン輸出を断る訳にもいかないのであろう。
一方のインドは、核拡散防止条約にも加盟していないで核兵器を保有し続けて いるため、ウランの輸出を断る理由はあるということなのだろう。ただ、そのよ うなインドではあるが、アメリカがそのような現状のままインドとの原子力平和 協力協定に調印したことから、今後オーストリアが拒否続けることができるか、 注目に値するだろう。
エネルギー資源の豊富なオーストラリアだから、いまのところ原子力発電所を 持つ計画はないようだが、原子力を進める諸外国のため、その燃料の供給産業が いつまで続けられるか、輸入国はもちろんオーストラリア自身も関心が高いよう である。
それに関して朝日の記事は次のような証言を紹介している。
「一方、ラトローブ大学のジョセフ・カミレーリ教授は『豪州では多くの人 が原子力について民生用、軍事用が密接につながっていると考えている』と 指摘する」
「水を大量に消費するなど鉱山開発に伴う環境問題も挙げ、『今のウラン産 業のにぎわいも一定期間がたてば落ち込む可能性がある』と批判的にみてい る」
資源小国である我が国は、脱石油、脱石炭を進めざるを得ず、そのためにも原 子力は進めなければならないのだが、その燃料であるウラン資源もまた、石油や 石炭と同じように埋蔵量には限界があることを改めて認識せねばならない。
「G研」代表