日本経済新聞(2009年10月7日)

<経済2面記事>

[国際エネルギー機関(IEA)]

       エネルギーや地球温暖化対策

       化石燃料需要20年に頭打ち


(その3)


 <本文転載>


[IEA事務局長]

                                                              

   「新興国含め対話の場」

                                                       

      −−1年内に初会合−−

                                                       国際エネルギー機関(IEA)の田中伸男事務局長=写真=は6日、バン  コク市内で日本経済新聞と会見し、14、15日にパリで開くIEA閣僚理  事会で、中国やインドなど広範な新興国を含めた対話の場を創設する考えを  表明した。日本が掲げる2020年までに国内の温暖化ガスの排出を199  0年比25%削減する目標については、海外からの排出枠取得を活用すべき  だと指摘した。                                                                  事務局長は「(IEAに加盟する)先進国だけでは、エネルギーや地球温  暖化問題に対処するのは難しい」と述べたうえで、中印やブラジル、メキシ  コ、南アフリカなどを加えた対話の場が必要との認識を表明。閣僚理で合意  し、1年以内に初会合を開く考え。                                                         さらに今後のIEAの運営方針などに助言する「賢人会議」を新設する方  針も示した。IEA創設にかかわったキッシンジャー元米国務長官や、気候  変動に関する政府間パネル(IPCC)のパチャウリ議長らがメンバー候補  という。                                                                     鳩山由紀夫政権による新たな削減目標には「すべてを国内で削減するより  も、海外から排出枠を買った方が安い」とし、海外からの排出枠取得を活用  すべきだと訴えた。               (バンコク=竹内康雄)




[IEA見通し]

                                                              

    温暖化対策は新興国主役に

                                                 国際エネルギー機関(IEA)は6日、2009年版「世界エネルギー見  通し」の特集部分を先行発表した。50年までに世界の温暖化ガス排出の半  減を目指す過程で、石油など化石燃料の需要は20年には減少に転じると分  析。排出削減への取り組みが1年遅れるごとに、年間5千億ドルずつコスト  が増えると指摘し、13年以降の温暖化対策の国際枠組み(ポスト京都議定  書)の早期妥結を求めた。                                                             IEAの試算は気候変動に関する政府間パネル(IPCC)のシナリオに  基づく。産業革命前からの気温上昇を2度程度に抑制することが前提で、そ  の実現には世界の温暖化ガスの排出を50年までに少なくとも半減する必要  があるとされる。                                                                 試算によると、20年には温暖化ガスを多く排出する化石燃料の需要が頭  打ちになるとした。一方、太陽光や風力といった再生可能エネルギーが急増  し30年には全エネルギー需要の3分の1を占めるまでに成長する。                                          排出削減の内訳をみると、20年、30年時点ともに再生可能エネルギー  の寄与は2割程度と限定的。省エネによる削減が6割前後を占める。国別の  削減割合をみると、20年に43%だった先進国の比率が30年には36%  に低下。一方で新興国は40%から43%に上昇し、地球温暖化対策でも新  興国が主役になると示唆した。          (バンコク=竹内康雄)