日本経済新聞(2009年10月7日)

<経済2面記事>

[国際エネルギー機関(IEA)]

       エネルギーや地球温暖化対策

       化石燃料需要20年に頭打ち


(その2)


 「産業革命前からの気温上昇を2度程度に抑制することが前提」

 アーノルド・トインビーが命名したとされる産業革命は、1760年代にイギ リスから起こったのであるが、ヨーロッパ、アメリカと伝搬し、やがて日本の明 治維新へと繋がるのである。産業革命は工業化ともいわれ、そもそも今日の地球 温暖化の始まりとなる。つまり、工場、交通などひろく石炭、石油といった化石 燃料が大量に使われるようになり、そこから排出された二酸化炭素が温室効果ガ スとなって地球を取り巻き、それがあたかも温室のように太陽からの輻射熱を逃 がさず、温暖化へと進んできたとされている。

 その産業革命以前の気温を基準にして、今後の気温上昇を2度程度以下に押さ え込まなければならないというのが、今回のIEA試算で示された前提だという。

 地球上の平均気温は、産業革命の頃の18世紀はほとんど横ばいで、マイナス 0.3度C前後を記録していたそうだ。それが1906年を堺に急上昇し、20 05年には0.4度Cまで上昇したという。このまま行くと今世紀末には産業革 命ころから2度以上上昇することになる。

「その実現には世界の温暖化ガスの排出を50年までに少なくとも半減する必 要」

 気温上昇を2度以下、つまり地球上の平均気温を1.3度C如何に押さえるに は温室効果ガスの排出量を2050年までに少なくとも半減させなければならな いというのだ。

 「太陽光や風力といった再生可能エネルギーが急増し30年には全エネルギー 需要の3分の1を占めるまでに成長」

 総発電量に占める太陽光発電および風力発電による電力が2030年には33 %にまで成長しているというのではなく、全エネルギーに占める再生可能エネル ギーの割合が3分の1まで成長させなければならないというのだ。

 再生可能エネルギーの中には原子力は含まれていないから、これは逆立ちして も達成不可能な数字である。しかし、IEAの試算によると、気温上昇を2度以 下に抑えることを前提とすると、2050年までに温室ガスを半減させなければ ならず、そのために再生可能エネルギーを中心に考えると、今後20年、203 0年までに全エネルギーの3分の1を占めるまで普及させなければならないとい うのだ。

 「排出削減の内訳をみると、20年、30年時点ともに再生可能エネルギー の寄与は2割程度と限定的。省エネによる削減が6割前後を占める。国別の 削減割合をみると、20年に43%だった先進国の比率が30年には36% に低下。一方で新興国は40%から43%に上昇し、地球温暖化対策でも新 興国が主役になると示唆した」                     

 いくら頑張っても再生可能エネルギーは2030年時点で2割程度だろう。そ うなるとあとは省エネに6割前後も期待しなければならなくなる。しかも先進国 はずいぶん減らすだろうが、インド、中国、ブラジルといった新興国の排出量が なかなか減らないという現象が起こる。そうなれば、2030年以降の地球温暖 化対策の主役は、先進国に取って代わって新興国ということになる。

 日経の記事はここで終わっているが、このIEA試算結果の裏には、暗に原子 力発電とその電気を利用した電気自動車の爆発的な普及を図らなければならない、 となっているのではないだろうか。そかもその原子力も、ウラン資源だけに頼っ ていたのでは、早かれ遅かれいずれは枯渇するだろう。そのためには高速増殖炉 の商業化を急がねばならない。

 しかし、いずれにせよ田中事務局長が率いるIEAは「いい仕事をしている」 と高く評価されよう。

               「G研」代表

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