◆メディア 温暖化問題、多角的報道を
桝本 晃章(ますもと・てるあき)
東京電力常務
<その1>
朝日新聞の原子力問題や環境問題に関する報道や社説などについて、われわれもずいぶん批判してきた。しかし、力の差は歴然としており、ここで如何に声高に吠えようとも、「暖簾に腕押し」「糠に釘」であり、「馬の耳に念仏」であったかも知れない。やはり「虎穴に入らずんば虎児を得ず」でやらねばダメだろう、といった心境になっていた。
そんな折り、東京電力の桝本常務取締役が、署名入りのご意見を、しかも問題の朝日新聞に載せておられた。画期的な出来事である。よくも「朝日批判」を朝日が取り上げてくれたものと、驚嘆と賞賛が入り交じって複雑な心境で拝読した。考えようによっては、偏った報道といった批判を薄めるため、推進派の中でも温厚な桝本常務に依頼して寄稿してもらったのではないか、といった勘ぐりもしたくなる。しかし、この際、余計な詮索は棚上げすることにしよう。
文章は、我々の攻撃的表現とは違って、ずいぶん紳士的にやわらかく書かれているが、主張の内容は我々の言いたいことと寸分も違わない。つまり双手を上げて「同感」である。
ただ、ソフトな表現に配慮されているためと、紙面の制約があるため、なかなか一般の人たちには難しい面はある。地球温暖化問題に関するマスコミ、特に朝日新聞の一連の報道には一方的な偏りが見られ、そのことを桝本常務は指摘され、「多角的報道を」と期待されているのだが、専門家以外の一般の読者にどれほど理解されるか、心配である。
では、何処がどのように一方的に偏っているのか、桝本常務の文章に沿って、我々の解説を加えながら整理して行こう。
米国ブッシュ政権は3月末、地球温暖化対策のための京都議定書不支 持方針を突然明らかにした。議定書の枠組みに戻れという日欧の働きか けにもかかわらず、米国の意思は固い。7月に再開される気候変動枠組 み条約の第6回締約国会議(COP6)までに米国案を提案するとして いる。 各メディアは米国の翻意が国内の経済状況やエネルギー事情等を反映 していることは、よく伝えている。しかし、これがすべてであろうか。 ブッシュ政権が問題の重要性に言及し、離脱による国際的批判を予想 しながらも、この決定に踏み切ったのはなぜか。 |