(その3)
<本文転載>
ドイツ連邦議会選挙は2大政党時代が終わりつつあること、そして「原発 回帰」が欧州の新たな潮流になり始めたことを予感させる。 総選挙では、保守のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が第一 党の座を守り、大連立の相手だった左派の社会民主党(SPD)が歴史的大 敗を喫した。この結果、同盟と第3党の中道政党、自由民主党(FDP)に よる連立政権樹立が確実となった。 ドイツ統一を成し遂げたコール政権以来、11年ぶりの保守中道政権の誕 生である。 選挙戦では、雇用対策、減税による景気浮揚、旧東独地域再建などが争点 になった。この中で、保守中道と左派の主張がはっきり分かれたのが、原発 政策だった。 新政権を担う同盟と自民党は、これまでの原発廃棄政策を見直すと表明し てきた。 ドイツは、社民党と緑の党が政権の座にあった2002年、稼働期間が3 2年に達した原発を順次廃棄する「脱原発」政策を始動させた。これを転換 し、稼働期間を延長するというのだ。 背景には、欧州連合(EU)が旗を振る地球温暖化対策を実行する上で、 当面、原発に頼らざるを得ないという事情がある。風力など再生可能エネル ギーによる肩代わりは、費用対効果の面などで難しいからだ。 欧州では最近、スウェーデンが原発の新規建設方針を打ち出すなど、脱原 発政策の転換が始まっている。環境先進国といわれたドイツが加われば、 「原発の復権」は大きなうねりになろう。 戦後のドイツは、同盟、社民党の2大政党のどちらかが、自民党など小政 党との連立で政権を樹立してきた。だが、30年前に合わせて90%を超え ていた2大政党の得票率は、年々低下してきており、今回の選挙では、わず か57%に減少した。 社民党の大敗は、福祉重視型の社会を築いてきた欧州社民主義の行き詰ま りを示した。「競争」が不可避な経済のグローバル化の中では、社会的弱者 を守るにも、経済の持続的成長を確保する必要があるからだ。 ブレア英首相、シュレーダー独首相はかつて、社民主義の自己改革を試み たが、起死回生にはつながらなかった。 来年前半に予定される英総選挙では、労働党から保守党への政権交代が予 想されている。仏、伊、独に続き、英も保守政権になれば、原発回帰にも拍 車がかかろう。 |