読売新聞(2009年9月29日)

<社説>

 ============「ドイツ総選挙」

  保守中道政権で原発存続へ


(その1)


 チェルノブイリ原発事故以降、EU諸国は脱原発路線に切り替えてきた。とり わけ技術立国であったはずのドイツは、左派の社会民主党(SPD)が、あの環 境保護を主張して過激な活動を展開してきたグリーンパーティ(緑の党)とも連 立を組んで政権を執ってきた。その政権与党は、原子力から風力発電に切り替え るべく、エネルギー政策をほとんど完全なまでに路線変更してきたのである。

 元々保守のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)は原子力推進派で、 選挙前まで大連立を組んでいた左派の社会民主党(SPD)は原子力に批判的な 政党であったが、やむなく政権与党を維持するために連立を組まざるを得ないと いう経緯があったのだ。

 ところが今回のドイツ連邦議会選挙で社会民主党が歴史的な大敗を記し、キリ スト教民主・社会同盟が第一党の座を守ったというわけである。すなわち社会民 主党の協力を得る必要がなくなり、第3党の中道政党、自由民主党(FDP)と 連立を組んで政権を維持する公算が出てきたというわけである。

 キリスト教民主党、社会同盟、そして自由民主党を加えて連立政権に入る三党 は、いずれも原子力開発の推進派政党で、その政党が大連立を組んで政権与党に なれば、ドイツは「原発回帰」に向かうのは当然の成り行きと見られている。

 しかも今回の選挙で保守中道と左派は原子力政策で真っ向から対立した主張で 戦ってきたのである。そして、これまでの原発廃棄政策を見直すと主張してきた 同盟と自民党が大勝し、緑の党と廃棄政策を推し進めてきた社会民主党が大敗し たのであるから、原発推進はドイツ国民から完全な支持をえたことになる。

 このことは、今回紹介する読売新聞の社説に明解にまとめられているから、じ っくり読んで頂きたい。

 それというのも、我が国の原子力に批判的な人たちやマスコミは、「原発推進 を諦め、風力や太陽光発電に切り替えたドイツを見習うべきだ」「ドイツの風力 発電の普及率は日本の何倍もあり、それでいて二酸化炭素の排出量を確実に減ら しているではないか」と、声高に主張してきた。

 そして、ドイツが排出量を1990年比で大幅に減らすことができているのは、 東欧に所属して省エネ技術開発などが遅れていた東ドイツと統合したからだ、と いう我々の説明に耳を貸そうともしなかったのである。

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