日本経済新聞(2009年9月9日)

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  [原発能力2030年に倍増]

       IAEA見通し 上方修正==>東アジアで需要増


(その2)


 「IAEAは上方修正の理由として中国、日本、韓国など東アジアでの原子 力発電の需要増大を指摘した。インドやパキスタン、中東でも原子力による 発電能力の大幅な増強が予想されている。北米、東南アジア、太平洋地域で は逆に小幅の下方修正があった」                    

 IAEAは日本も含めた東アジアでの原発の需要増大を指摘してくれているよ うだが、日本はさておき、中国や韓国は順調に伸ばすだろう。一方日本は、国内 状況を考えると、20年間倍増はおろか、このままでは10%増大でも難しいの ではないだろうか。

 ただ、政権を奪取した民主党の鳩山総理は、2020年にCO2排出量を19 90年比で25%まで減らすことを国際社会に間もなく発表するというから、こ の数字は原発の精力的な建設なくして不可能といえるのだ。例えば、今後10年 間に150万kWクラスの原発20基ほど建設して運転開始に持ち込めば、25 %も十分可能であろう。

 まあ、他にも電気自動車や太陽光発電も頑張るだろうとしても、原発15基は 必要不可欠だろうと思われる。

 「地域別にみると東欧地域の原子力依存度が高まり、30年の最大シナリオ で15%を上回るとみられる。極東地域の原子力依存度も現在の約7%から 最大約9%にまで上昇する見通し」                   

 諸外国は、温室効果ガス排出量の削減目標をできるだけ押さえて国際社会での コミットメントに望み、それでいて国内では大胆な対策、例えば原子力依存度を 上げる検討をしているということが、今回のIAEAの予測で想像された。

 ところが日本はその逆で、削減目標を大きく掲げて交渉に望み、その実、具体 的な対策には何の計画も根拠もない。諸外国は、大きな削減目標を掲げてきた日 本を、表向きには高く評価すると発言するだろう。

 その言葉に気をよくした日本の新政権は、日本経済に悪影響を与えない効果的 で具体的な対策を出せなかったら、10年後の結果を見て嘲笑の的になること請 け合いだ。そうならなければよいがと、いまから心配である。

 本来なら、削減目標は、諸外国の足並みを見ながらそこそこの数字を出して、 その目標年次に削減目標値を大きく上回る結果を出せば、諸外国から尊敬の念で 見られるというものではないだろうか。

 しかし、鳩山総理は間もなく演説して25%削減を世界に約束し、喝采を浴び るだろう。あとは如何にして削減するかである。

 我々は一貫して、原子力発電の健全な開発と電気自動車の普及以外に地球温暖 化を止められないと主張した。この考えを翻すつもりは毛頭ない。このたび、I AEAの調査結果によって、諸外国はこぞって原発推進に向かっている。

 幸いにも日本は、世界に存在する原子力発電プラントの主要メーカー五社のう ち三社まで日本企業を抱えているのだ。彼らの能力を日本が優先的に使わない手 はない。しかし、計画から建設着工まで四半世紀もかかる日本の原発建設にこれ からも付き合うほど、彼らは寛容でいるとは思えない。間もなく世界の市場から 彼らは引く手あまたになるだろう。

 日本は、官僚主導から政治主導に変わった。エネルギー・環境政策でも大きな チェンジを望まざるを得ない。例えば、海岸線を持つ都道府県は原発1基以上を 誘致し、海岸線を持たない都道府県は放射性廃棄物処分場など、関連施設を引き 受ける何らかのシステムをつくることを提案したいのである。

               「G研」代表

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