朝日新聞(2009年9月3日夕)

<夕刊1面トップ記事>

      原発40年超運転 初認可

                  敦賀1号機 新設着工遅れ


(その3)


 <本文転載>


 来年3月に運転開始から40年を迎える日本初の商業用軽水炉の敦賀原子 
力発電所1号機(福井県敦賀市)について、経済産業省原子力安全・保安院 
は3日午後に開かれる内閣府原子力安全委員会で、今後10年間の継続運転 
を認めることを報告する。国内で運転から40年を迎える原発は今後5年間 
でみても7基にのぼり、そのほとんどが運転を継続するとみられ、日本は  
「高齢原発時代」に入ることになる。           (香取啓介) 




 敦賀原発1号機(出力35.7万キロワット)については、事業者の日本 
原子力発電が02年に福井県に10年末で運転を終え廃炉にする計画を報告。
しかし、隣接地に代わりに建てる予定の3、4号機(出力各153.8万キ 
ロワット)の認可や着工が耐震指針の改正などで遅れているため、今年2月 
に運転期間の延長の方針を決め、手続きに入っていた。          
                                   
 日本原電は3日、3号機を運転開始する16年に1号機の運転を停止する 
と発表した。                             
                                   
 原発の寿命について、国に特に規定はないが、電力各社は当初30〜40 
年の運転を想定していた。しかし、原発の新規立地が難しく、増設にも地元 
同意に時間がかかることから、国は96年に「安全性を確認すれば60年運 
転しても健全性は確保できる」との判断を示していた。          
                                   
 日本原電は老朽化対策として、炉心を囲い、炉内の水の流れを整える隔壁 
や、原子炉に水を戻す際の給水加熱器を00年に交換。60年の長期運転を 
想定し、今後10年間の長期保守管理方針をまとめて、2月に国に提出した。
保安院はそれを受け、立ち入り検査を実施。専門家による作業部会で、放射 
線による原子炉内の機器の劣化やケーブルの絶縁性の劣化、配管の厚さなど 
に関する対策を妥当と判断し、今後10年間の継続運転を認可する審査結果 
をまとめた。                             




 「高齢原発時代」 監視厳格化を

                                                    <解説> 敦賀原発1号機が40年以上の長期運転に入ることが決まった。 国内商業原発は70年代に本格稼働を始めた。現在稼働する53基のうち、  70年代から運転を続ける原発は18基もある。敦賀1号機以外は廃炉や新  設炉との置き換えの計画が決まっておらず、「原発60年」時代が現実味を  帯びてきた。                                                                   国際的に見ると、スイスやインド、米国で40年超運転に差しかかる原発  があるが、40年以上の運転例は多くない。                                                     18基のほかに、国内で廃炉の方針や解体作業が始まっている商業原発は  3基ある。東海発電所(茨城県東海村)は出力が小さく、国内商業炉で唯一  のガス冷却炉で継続の必要度が小さかった。浜岡原発(静岡県御前崎市)   1、2号機は耐震補強工事をすれば数千億円かかり、いずれも特殊事情から  だ。電力会社からすれば新規の立地は難しいことなどから既設炉を当初予定  より「延命」する流れになっている。                                                        国は安全性を確認すれば、60年までの運転を認める方針だが、老朽化の  懸念は少なくない。高温高圧の蒸気を使い、放射線の影響を受ける原発の配  管や機器は、長年使うとひび割れを起こしたり、薄くなったりしやすくなる。 04年に5人が死亡した美浜原発3号機の配管破断事故も老朽化が一因だっ  た。                                                                       高齢原発時代に入ることで、よりいっそうの監視体制の厳格化が求められ  る。