読売新聞(2009年8月20日)

<加速・原発ビジネス・上>

        日米欧 白熱の受注合戦


(その1)


 世界は原発建設に向かっているのをご存じだろうか? そのブームに乗ってい る原発ビジネスの中心にいるのは日本企業であることもまたご存じだろうか?

 我々は地球温暖化を阻止できるのは原発と電気自動車をおいて他にないと主張 してきた。世界は大体この方向に向かいつつあるが、日本政府は、政権を奪取し た民主党も含めて、相も変わらず「温室効果ガス削減○○%」といった目標値の 数字遊びに興じているだけだ。

 「2020年までの中期目標を1990年比25%」を民主党新政権は声高ら かに国際社会に発表するらしいが、「如何にして」が抜けている。イヤ、省エネ と自然エネルギーで達成できるとでも思っているのかも知れない。

 省エネもエネルギー効率を上げる技術開発なら経済を圧迫することはないから 結構な発想だ。風任せやお天道さま任せの自然エネルギーでは、国家経済には不 可欠な安定したエネルギー供給には程遠いと言わざるを得ない。

 地球温暖化対策には、国民においては自己の家計をむしろ潤すものであって、 決して負担をかけるものであってはならない。負担を掛けるものなら、政府の遠 吠えに終わってしまうこと請け合いである。

 また、効果的な対策を地球規模で進めなければならず、いくら過去の責任があ るといっても、先進工業国だけの努力では成功しないのはいうまでもない。途上 国も喜んで協力してくれるものでなければならない。それは、先進国からの経済 援助に限らないだろう。

 つらつら考えてくると、地球温暖化を効率よく阻止できる対策は、原発と電気 自動車ということになる。米国の自動車産業の停滞に端を発して日本の自動車メ ーカーも危機感を持つようになってハイブリッド車から一歩進んだ電気自動車の 開発にようやく乗り出すようになった。

 しかし、その電気自動車に充電する電気は、太陽光発電や風力発電で事足りる などと考えてはならない。そこは、安価で大容量の発電が可能な原発でなければ ならないだろう。

 しかし、原発を有効に利用するかどうかは、特に民主主義国家においては国民 の心の内にかかっている。我ら原子力産業に長年従事してきた者は、国民にいま こそ原子力に直視してもらいたいと切に願っている。その発端は、やはり世界の 動きに目を向けることであろう。

 紹介したいのは、読売新聞が上下2回に分けて連載した「加速・原発ビジネス」 である。今回ばかりは我々がコメントを挟む余地などほとんどないと思われるほ ど、簡単明瞭にまとめられた極々短い連載である。

 「地球温暖化問題への対応や新興国のエネルギー需要の高まりなどを背景に 原子力発電所の建設計画が世界的に広がっている。技術力を誇る日本メーカ ーは商機拡大を狙い、欧米勢は官民挙げた受注合戦を繰り広げる。加速する 原発ビジネスの最新事情を紹介する」                  

 先ずは冒頭のパラグラフを引用しておこう。あとはそのまま全文を素直に読ん でもらいたい。ただ、一言コメントさせて頂くとするなら、本文中に、アメリカ はクリントン国務長官が、フランスはサルコジ大統領が、原子力発電プラントの 売り込みを先頭に立って展開しているということである。

 しかし、原発プラントを受注できる企業は、世界広問いえどいまや五社しかな い。その五社のうち三社まで日本の企業であることを、この読売の連載本文をお 読み頂ければ、即座にご理解頂けるだろう。

 しかし、しかしである。日本の総理大臣か外務大臣が、日本の原発プラントの 売り込みを外国訪問の際に相手国の政府高官にしてくれたという報道を未だかつ てお目にかかったことはない。

 地球温暖化を憂える国会議員なら、選出された選挙区へ帰って原発誘致を説得 してくれても良さそうなものだ。原発の必要性など発言しても、票に繋がらない どころか減らすことになりかねない、といった了見の狭い考えでは将来、国家国 民のためになる大政治家にはなれませんぞと、失礼は十分承知しながら申し上げ ておこう。

             「G研」代表

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