読売新聞(2001年5月18日

[社説]========米原発再開

    流れを変える新エネルギー政策

<その2>

 新政策はこうした厳しい現状認識に基づいて打ち出された。      
 注目されるのは、22年ぶりとなる原発建設の再開だ。        
 ブッシュ政権はこのことに気付き、そのことを盛り込んだ「新国家エネルギー政策」を打ち出したに過ぎません。

 米国は1979年のスリーマイル島事故の後、原発の新設を事実上凍結し
てきた。しかし、原発は現在も米国の電力供給の約20%を支えているとい
う事実と、原発が地球温暖化ガスを排出しないことを強調し、建設規制を緩
和する方針を示している。                      
 2000年末現在、稼働中の原発は、アメリカが103基、フランスが59基、日本が51基、イギリスが35基、ドイツが19基あり、それぞれの国の総発電量に占める原子力の割合は、高い順に、フランスが76.5%、次いで日本の32.1%、ドイツの29.3%、イギリスの28.1%、アメリカのの18.8%となっています。

 ここで注目したい点は、原子力推進の大きな制約は、一に国民の理解不足であり、二に建設規制であることに、アメリカも日本もあまり変わりがないものと思われますが、その制約のうち、「国民の理解を得るための広報に力を注ぐ」ことを、この「新国家エネルギー政策」は言及していないことです。

 不確定要素の高い国民の理解を得ることより、「建設規制を緩和する」ことに連邦政府として重要ということなのでしょう。つまり、国民の合意を得る努力も重要でしょうが、行政当局のまず第一にしなければならないことは、なんといっても「規制緩和」なのです。

 先進国の原発は、稼働率の向上と寿命の延長で発電コストが大幅に低下し
た。石油価格の急激な高騰もあって、原発の競争力は以前より高まっている。
 「稼働率の向上と寿命の延長で発電コストが大幅に低下した」ことは事実であるにも関わらず、原子力の正常な発展をよろしく思わないマスコミなどは、この原子力の存在意義を証明する最も重要な情報を国民に知らせることは元より、認めようともしていないのです。

 原子力に批判的なマスコミは、まやかしの報道で、国民に恐怖感を与え、なおかつ存在意義があるや異なやを、賢明な国民自が判断する材料を隠そうとしているのではないかと下司の勘ぐりをしたくなることしばしです。

 ところが今回、読売新聞が、同紙の社説で明確に書いてくれました上の1文は、非常に高く評価されるものです。

 反原発意識の強い欧州でも、英国の労働党が「原子力の役割の必要性」を
総選挙の公約とするなど、見直しの機運が出始めた。米国のこの政策転換は、
世界の潮流に大きな影響を与えるだろう。               
 これもまた真実を伝える部分で、原子力推進は「国際潮流に背を向ける」と、どの国も原子力を断念しているかのような報道しかしない朝日新聞などとは、大きく別れているところです。ただ、ドイツは、原子力反対を党の綱領としている緑の党が連立与党に入っているため、ここ数年は原子力推進は難しいと言われています。

 ただ他の国は、経済の低迷で、電力需要が落ちているため、新規の原子力発電所の建設はここしばらくひかえている、といった国はありました。しかし、それは、原子力の存在意義に疑問が出てきたためとか、原子力の安全性に自信が持てなくなったため、ということは断じてありません。

       <次につづく>