(その2)
<本文転載>
【ブリュッセル=瀬能繁】欧州連合(EU)が域内の電力やガス、石油な どエネルギー関連投資の最適化に乗り出す。加盟27カ国の投資案件情報を 欧州委員会に集約、共有する新制度の導入が柱。欧州委が域内のインフラ整 備の進展状況を点検し、1兆ユーロ(約135兆円)を上回る巨額の長期投 資の調整を進める。二重投資を避け、限られた財源で効率的に基盤整備を進 めるほか、国境をまたぐ温暖化対策やエネルギー安全保障の確保にも役立て る狙いだ。 |
新制度は欧州委がまとめ、2010年初めの閣僚理事会での採択をめざす。 ピエバルグス欧州委員(エネルギー担当)は「投資の透明性確保はEUの長 期的なエネルギーシステム改善に重要」と語った。 EUは20年までに温暖化ガスの排出を1990年比で20%削減、太陽 光や風力など再生可能エネルギーの割合を20%に高める目標を掲げている。 目標実現には、例えば電力分野で30年までに1兆ユーロ、ガス供給網の整 備で1500億ユーロの投資がそれぞれ必要という。 新制度は各国によるエネルギー関連の投資情報を欧州委に集め、各国に開 示する仕組み。対象は石油、ガス、電力などのインフラ整備事業。バイオ燃 料や原子力のほか、石炭火力発電所から出る二酸化炭素(CO2)を地下に 貯留する事業(CCS)も含まれる。 欧州委は各国が進める事業の工程を管理。将来の域内エネルギー需給を読 みながら各国に事業の前倒しを求めたり、複数国にまたがる事業を円滑に調 整しやすくする。域内の投資計画の進展度合いが一目でわかるようになるの で、二重投資による無駄遣いなどを減らす効果も期待できる。 EUは昨年まとめた景気対策として約40億ユーロをエネルギー関連のイ ンフラ整備に投入することを決めている。ただ景気悪化でエネルギー関連投 資を削減したり、遅らせたりする加盟国もある。欧州委は新制度を通じ、E U全体として中長期の基盤整備に横断的に取り組む。 CCSをはじめとする次世代のエネルギー基盤整備は温暖化対策にとって 不可欠。日米も急ピッチで温暖化対策を進める中、その裏付けとなるインフ ラ整備に早めに道筋をつけることは、EUの国際競争力強化に向けて急務と の判断がある。 またEUはロシアへのエネルギー依存度が高いという課題も抱える。投資 情報共有などで機動的に自前のインフラを高度化できれば、エネルギー安保 上の優位性確保にもつながるとみられる。 |