朝日新聞(2009年7月3日)


<1面トップ・国際面>

   IAEAトップに天野氏


            「核の番人」日本人初


(その3)


   <1面トップ/本文転載>


 【ウィーン=玉川透】3月の投票で決着がつかず、仕切り直しとなった国 
際原子力機関(IAEA)の事務局長選挙が2日行われ、再挑戦した日本の 
天野之弥(ゆきや)ウィーン国際機関日本政府代表部大使(62)が当選し 
た。原子力の平和利用、核拡散防止の要であるIAEAのトップに日本人が 
就くのは初めて。9月の年次総会で正式承認され、12月1日に就任する。 
任期は4年。                    =8面に関係記事 




 唯一の被爆国・日本からの「核の番人」のトップとして、停滞ぎみだった 
核軍縮・不拡散体制強化への強力なリーダーシップが求められる。同時に、 
北朝鮮の核実験やイランの核開発疑惑など、緊急性の高い問題が山積するな 
かでの就任であり、待ったなしの手腕発揮を迫られることになりそうだ。  
                                   
 天野氏は当選を決めた直後の記者会見で「日本は原子力の平和利用と核不 
拡散を両立しているモデルともいうべき国。その経験を世界に役立てていき 
たい」と述べた。                           
                                   
 選挙は、現事務局長のエルバラダイ氏が11月に任期切れを迎えるのに伴 
うもので、3人が立候補。上位2人に残った天野氏と南アフリカのミンティ 
IAEA担当大使(69)それぞれに対する信任投票で、天野氏は当選に必 
要な投票数の3分の2以上となる23票を獲得した。35理事国中、信任投 
票では1カ国が棄権した。                       
                                   
 3月の前回投票も天野、ミンティ両氏の一騎打ちだった。天野氏が欧米や 
アジア諸国の支持を集めて終始リードしたものの、ミンティ氏支持の途上国 
に食い込み切れず、当選を逃した。                   
                                   
 現在、主要な国際機関の日本人トップでは、国連教育科学文化機関(ユネ 
スコ)の松浦晃一郎事務局長が今年中に退任予定。このままだと国際エネル 
ギー機関(IEA)の田中伸男事務局長だけとなり、日本政府をあげて天野 
氏当選に向けた選挙運動に取り組んできた。               
                                   
 中曽根外相は2日深夜、「国際社会の幅広い支持を得ることができたこと 
を大変喜ばしく思う」との談話を発表した。               




 【天野 之弥氏(あまの・ゆきや)】東大卒、72年外務省入省。仏マル 
セイユ総領事、ハーバード大客員研究員、軍縮不拡散・科学部長などを経て 
05年8月からウィーン国際機関日本政府代表部大使。同年10月から1年 
間、国際原子力機関(IAEA)理事会議長。07年に核不拡散条約(NP 
T)運用検討会議・準備委議長を務めた。                



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