読売新聞(2001年5月18日

[社説]========米原発再開

    流れを変える新エネルギー政策

<その1>

 アメリカの大統領府・ホワイトハウスから、現地時間で5月16日夜、ブッシュ政権の新しい「国家エネルギー政策」の概要が正式に発表されました。内容については、原子力推進に転換すること、アラスカなどで国内の石油や天然ガスの増産に力を入れること、などが明記されています。

 この発表をマスコミ各紙は、5月17日の夕刊から大きく取り上げていますが、その報道の内容は、日頃から原子力には批判的な報道を展開してきた朝日新聞は、「国際潮流に背を向ける」といつも通りの反対の立場を崩していません。

 一方、読売新聞は、早速、翌日(5月18日)の朝刊に「流れを変える新エネルギー政策」と、歓迎する内容の社説を組んでいます。先ずはその内容をチェックしてみましょう。

 米国政府が「新国家エネルギー政策」を発表した。原子力発電所の建設再
開、アラスカ州での石油・天然ガス開発の解禁、低公害車優遇税制の創設な
ど、需給両面にわたり、数多くの具体策を掲げている。         
 「需給両面にわたり、数多くの具体策を掲げている」といった表現は、まさしくこのブッシュ政権が打ち出した「新国家エネルギー政策」を賞賛する表現です。その文章を、最初のパラグラフで持ってきているところはさすがです。

 米国はいま、1973年の第一次石油危機以来のエネルギー危機に直面し
ている。カリフォルニア州では停電が続発、ガソリン価格も高騰したままだ。
石油の輸入依存度は60%前後に達し、超大国のアキレスけんになりつつあ
る。                                
 カリフォルニアの停電は、自由化そのものは間違いではないが、その制度の失敗によるもの、といった過小評価の報告を日本の資源エネルギー庁などは展開していますが、これは「第一次石油危機以来のエネルギー危機」の現れであることは明白です。

 地球温暖化防止策は焦眉の急を告げる課題であることに異存はないものの、その最大の効果を発揮する原子力発電所の建設が進まない、原子力がダメならやはり化石燃料となり、原油価格の高騰につながる、そうなれば当然温暖化ガスの放出量の増加へとつながります。つまり、原子力の開発の鈍化−−>化石燃料消費の増加−−>原油価格の高騰−−>地球温暖化の加速/経済の低迷−−>原子力発電への期待、となるのは必定でしょう。

 原子力開発に制約を加えながら、地球温暖化防止を声高に唱えておれば、世界は省エネと自然エネの方向に向かうという考えは、あまりにも安易すぎるのではないでしょうか。

      <次につづく>