朝日新聞(2009年6月10日)

<社説>===========[電気自動車]

    石油がぶ飲みに別れを


(その1)


 地球温暖化を完全な形で阻止するには、原子力発電の建設推進と電気自動車の 積極的な普及だと我々は主張し続けてきた。単なる「二酸化炭素を省エネで減ら せ」では、途上国はいうに及ばず、先進工業国でもなかなか実現が難しい。

 朝日は、原子力開発に未だ批判的だが、電気自動車には我々の主張と同調でき るようになってきた。電気自動車の長所に関して、今回紹介する社説で次のよう に表現している。

 「それでも、すばらしい長所がある。二酸化炭素(CO2)の排出は、走行 中はゼロ。電力会社が発電する時に出る分を計算に入れても、ガソリン車の 約3分の1だ。排ガスで地球環境を悪化させてきたクルマの『原罪』を小さ くし、温暖化防止に役立つ」                      

 発電の熱源として化石燃料に未だ約3分の1依存しているからこういう表現に なる。原子力発電、水力発電、そして太陽光・風力発電によって全電力が賄える ようになれば、電気自動車は名実共に二酸化炭素排出量ゼロということになる。

 「電気自動車は富士重工業も7月に発売する予定で、日産自動車は10年秋 に年5万台規模で生産を始めるという。いずれ太陽光発電による電気を使う ことが一般化すれば、ほぼ完全なエコカーが走り回る時代も夢ではない。技 術開発と低廉化に期待したい」                     

 太陽光発電による電気が一般化するまで、はたして地球は持ちこたえることが できるだろうか? それほどまでに太陽光発電の実用化を急ぎたいなら、電気自 動車のボデーに太陽光パネルを貼って、少しでも自前の電気を使う手だてをすべ きではないだろうか。

 原子力発電にもう少し国民の理解が深まって順調にその開発が進めば、完全な エコカーが走る時代など、まったく夢ではなく、来年からだって不可能ではない のだ。

 「エコカーの開発・普及は、苦境にあえぐ自動車産業の再生の条件であり、 新たな発展の機会だ。安全・安価、そして地球環境に優しいことを『メード・ イン・ジャパン』の特徴にしたい」                   

 エコカーの開発には自動車産業単独では無理だろう。電車、モーター、電池、 太陽光パネル、コンピューター制御といった分野の技術が電気自動車には必要不 可欠だが、これらの開発はすべて電機産業が進めてきたもので、両者が手を結ん ではじめて実現加速するものと思われる。

 安全、安価、そして地球環境に優しいエコカーも「メード・イン・ジャパン」 なら、安全、安価、そして地球環境に優しい発電システムも「メード・イン・ジ ャパン」なのである。何故なら、世界の原子力発電プラントの主要メーカー5社 のうち、4社まで日本の企業であることをまずは知ってもらいたい。

 ところで電気自動車は、いくら補助や税金の減額が注ぎ込まれても、同クラス のガソリン車と比べ、当面はコスト高であろう。しかし、地球温暖化を阻止する ためには電気自動車の普及が不可欠である。

 とするなら、何故、総理の専用車、環境大臣の専用車が電気自動車に置き換わ ったというニュースが流れてこないのだろう。永田町および霞が関界隈といった 極狭い地域を限定して走行する国会議員と高級官僚の専用車から電気自動車に置 き換えるべきではないだろうか。

 もちろん朝日新聞の記者たちが利用しているハイヤーも電気自動車にしてもら いたいものである。

             「G研」代表

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