◆稼働率向上が課題に
「設備利用率(稼働率)が3年連続で60%台に低迷し、大変重く受け止
めている」
4月22日の原子力部会。森本浩志・関西電力副社長が業界を代表して釈
明した。
原発の稼働率は90年代後半は8割台を維持し、98年度には最高の84.
2%に達した。しかし、4月に発表された08年度の稼働率は60.0%。
03年度の59.7%に次ぐ低さだった=グラフ。
相次ぐ不祥事に地震が追い打ちをかけた。東京電力は02年に原子炉施設
の損傷隠しなどが発覚し、全17基が停止。影響は05年まで続いた。07
年7月の新潟県中越沖地震で柏崎刈羽原発の全7基が再び停止。この19日
に7号機=写真=がようやく発電を再開したが、ほかはまだ点検中だ。
05年に国が定めた原子力政策大綱は、30年以降の発電量の3〜4割以
上を原発が担うとした。しかし、稼働率の低かった07、08年度の原発の
割合は25%程度に落ち込んだ。
原発は安定して大出力が得られ、燃料価格の変動の影響も小さい。電力会
社は長年、稼働率を高めた効率的な運用を目指してきた。その稼働率が落ち
込むなか、温暖化対策という追い風が吹いてきた。
原発の稼働率1%分を火力発電で補うとCO2排出量は約300万トン増
えるという。07年度の国内排出量は13億7400万トンで、京都議定書
の基準年(主に90年度)の9.0%増になった。環境省は、98年度並み
の稼働率なら5%分は下げられたと試算する。
昨年閣議決定した「低炭素社会づくり行動計画」は太陽光、風力、水力も
含めた「ゼロ・エミッション(排出)電源」を、20年をめどに50%以上
にし、原発の比率を「相当程度」増やす目標を掲げる。
国内の原発は現在53基。経産省資源エネルギー庁の試算では、今後10
年以内に新設を計画中の9基で運転が始まれば、稼働率80%で「50%」
の目標をなんとか達成できる。だが、稼働率が70%なら18基の新設が必
要になるという。政府が選択肢を示して検討中の排出量削減の「中期目標」
(20年まで)も、多くは新設9基、稼働率81%が前提だ。
原発はすぐに新設できない。エネ庁は「稼働率向上」を強化策の柱にあげ
た。部会の委員からも「即効性があるのは既設炉の有効活用。稼働率を最大
限高める必要がある」といった意見が出た。
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