(その2)
「日本は、米、仏に次ぐ原子力大国で原子炉の製造などで優れた技術を持つ
が、燃料となる濃縮ウランの「自給率」は3%未満に過ぎず、多くは欧州か
らの輸入に頼っている。世界のウラン濃縮能力の4割を占めるとされるロシ
アから本格的に輸入できれば、資源の安定確保につながる。一方、ロシアは、
今後20年間に約40基の原発の新設を計画しており、日本の高い技術に期
待している」
日本の電力会社は、かつてはそのウラン濃縮の役務契約のほとんどをアメリカ と結んでいた。ところがアメリカを通過した原子燃料は、核不拡散の観点からそ の燃料が使用済みになってからも、その取り扱いに関してアメリカの意向を打診 しなければならなかったのである。
ところがフランス、イギリスなど、欧州諸国に濃縮を依頼してからは、アメリ カほど厳しい要求はなくなったのである。もっとも核不拡散は重要だが、非核三 原則といった核兵器への転用は絶対しないという姿勢を明確に示している我が国 などに対してまで、厳しい注文は御免被りたい。
今度の日露原子力協定の調停により、濃縮や再処理などの委託先の欧州の他に ロシアが加わるということは、我が国にとって歓迎すべき進展といえよう。
「協定締結は、日本企業にとっても追い風になる。東芝は12日、ロシアの 国営原子力企業「アトムエネルゴプロム」と濃縮ウランの備蓄などで事業化 を進めることで合意した。原子力協定が締結されたことで、技術協力や合弁 会社の設立が可能になったためだ」
と、日露原子力協定の締結によって早くも動き出したということである。しか し、ロシアはなかなかしたたかな側面も見られる所から、我が国も先の大戦直後 から幾度となく煮え湯を飲まされてきたのも事実だ。
最近でも以下のようなことがあったようで、日露間でまず信頼と友情を一歩一 歩築き上げて行かねばならないだろう。
「だが、日本企業の間では、ロシアの外資規制などに対する懸念が依然とし て強い。サハリン周辺の「サハリン2」事業では、日本の商社などが開発し てきたが、ロシア政府の圧力で開発会社の株式の過半数をロシア企業「ガス プロム」に譲渡した経緯もある」
また、原子力分野でも次のような難問が残っているようである。日露原子力協 定が調印されたといえども、当分の間は諸手を挙げて喜べるような状況ではなさ そうである。
「しかし、ロシアで核物質を輸出入できる施設は、北欧寄りのサンクトペテ ルブルク港のーか所だけで、濃縮ウランを鉄道で運び、さらに船で日本へ送 るには、相当な輸送費用と時間がかかる」
最後に関連記事の中から、気になるところを抜粋して引用しておこう。
「ロシアは、07年6月まで6.5%だった丸太の輸出関税率を現在は25 %に引き上げている。さらに、来年1月からは80%とする予定だ」
つまり、ロシアという国は、輸出相手国の意向などまったく無視して、丸太の 輸出関税をそれまでの6.5%から2007年6月に25%に引き上げたのであ る。そしてまた、来年の2010年1月からは80%と大幅に引き上げようとし ているというではないか。
我が国の外務省も、もう少しロシアを見習って、したたかな外交交渉を展開し てもらいたいものである。
「G研」代表