読売新聞(2009年5月13日)


<経済欄>

      露と資源協力強化


                自国優遇策には不信


(その1)


 原子力分野における日露間の協力関係は、非常に遅れていた。その原因は、北 方四島返還に基づく日露平和条約締結の遅れによることはいうまでもないが、東 西冷戦時代からのアメリカの顔色を窺っての日本の躊躇が心理的に働いたと思 われる。

 しかし、今や日本は、世界の主要原子力発電プラントメーカー五社のうち三社 を抱える国にあって、今後原発建設を大々的に進めようとしている国にとっては 日本の協力が不可欠と認識されるようになったのである。

 ロシアとて例外ではない。旧ソ連時代、チェルノブイリの黒鉛炉事故という大 失敗から、ロシアの国産原子炉では最早心許ないということであろう。

 5月12日、ロシアのプーチン首相の来日で日露原子力協定がようやく調印さ れた。北方四島の返還交渉はまだまだ難航しそうだが、協力関係が築ける分野か ら実施して日露間の関係を密にしながら官民を上げて両国に横たわる難問を徐々 に解決していくという姿勢は肝要だろう。

 さて、日露原子力協定は調停されたが、はたして両国の協力関係は如何にして 実行されていくのであろうか。

(次ページにつづく)