エネルギー政策に募る地方の不信
電力自由化で矛盾噴出
<その3>
>国の責務明確に > 原発は燃料費の安さが利点。減価償却を終え、運転開始20年以上経過す >ると火力などに比べて発電コストの競争力は高い。米国では電力需要の伸び >を背景に、運転年数が60年に延長されたのを契機に原発が息を吹き返した。 >しかし電力需要が伸びていない国内で同じ議論が通用するか疑問もある。米国は、「運転年数が60年に延長されたのを契機に原発が息を吹き返した」らしいが、日本は、1996年、「高経年化対策に関する基本的な考え方」が公表され、わが国の商業用軽水型原子力発電所は運転が実質60年間可能になっている。しかし、いまだわが国の原発が「息を吹き返した」とは言いがたい。
もっともアメリカでは、1969年に起こったスリーマイルアイランド原発事故以来、新規の建設は皆無だったから、その意味では「息を吹き返した」かに見えるのだろう。ただわが国の場合、原子力は、片時も「冬眠」はしていなかったし、「仮死状態」にあったわけでもない。
しかし、電力自由化政策が実施されて以来、地球温暖化防止策に逆行して、小規模な火力発電の建設が新規参入の電力業者によって浮上しており、また、高価な自然エネルギーの利用に過度な期待が高まっている。これらの動きに押され、原子力は低迷を続けているから、いまや「うたた寝状態」であろうか。
> 青森県の木村守男知事は「国はもっと指導的な立場で責任を果たすべきだ」 >と主張、政策の明確化を求める。政府内にも「国策として進める原発は自由 >化論議の外に置くのが望ましい」との意見もある。いやいや逆でしょう、木村知事。国がしゃしゃり出てうまく行ったためしがない。国鉄の分割民営化は、戦後の電力再編がお手本になったと伝え聞く。電電公社も民営化され、NTTになってうまく行っているではないか。郵政三事業の民営化も、小泉・新総理の念願の主張だから、規制緩和・民営化に向けて加速されるであろう。
電力の自由化は、日本列島、沖縄も入れて10電力会社の地域独占を含んでの民営では、電気料金の引き下げなどに妨げになっているとして、進められてきたのではないか。いまさら、民営化、自由化に逆らって、国をはじめ、公的機関の介入で事がうまく進むとは思えないのである。
「原発は自由化論議の外に置く」というのは、具体的にどういうことか分からないが、原発以外の発電所はそれこそ自由に民間でやり、国策の原発は、建設から運営・管理にいたるまですべて国または国が認可する公的機関がやる、ということだろうか。
あまりにも「縦割り行政」的な考えではないか。国の役割はそのような分野ではないはずだ。
原子力推進に明らかにマイナス要因になっている電力自由化だが、それも世界の趨勢なら受け入れるとしよう。しかし、このまま従来の方法で原子力を進めようとしても、それを民間でやろうが国がやろうが同じくらい難しいと思われる。
国は、原発建設までのプロセスで極めて政治色の強い部分、すなわち立地予定地の地元住民への説得と土地の買収の部分である。ここで民間では難しいが公的な何らかの力が出せる工夫をしてもらいたい。
例えば、原発立地の土地の買収には、民間の電力会社の企業活動という理由で、「土地収容法」の適用は見送られてきた。「国策」の原発を民間の電力会社が依託を受けて進めるのだから、「土地収容法」を適用することに何らはばかることはないだろう。また、「電源三法交付金」の使い道は、自治体を指導して、地域活性化を基本に大規模な街造りに取り組んでもらいたい。
> 地方の不服申し立てに対し「どんどん出向き対話していきたい」と原子力 >委員会の藤家洋一委員長は言う。単に理解を求めるのではなく、国の責務を >明確に伝えることが大切だ。ホホー、藤家先生は「どんどん出向いて対話する」とおっしゃっていますか。大変結構なことです。いままでテレビのワイドショーなどに、原子力委員や原子力安全委員が出てきたのを見たという記憶がない。もっとも出演以来が皆無なのかも知れないが・・・。
しかし、色々な事故が起こったとき、ワイドショーに出てきて解説しているのは反原発の人たちばかり、というのでは正しい状況を国民に伝えるという役割を推進側は誰もとっていなかったのではないか。国民が知りたい情報を流してこそ、生きた広報といえるのだ。
藤家先生、ブラウン管を通じてご尊顔を拝する日を楽しみにしています。ただ、老醜を晒しては、せっかくの公報効果も薄れてしまいます。そろそろ世代交代ではないだろうか、と我々の間でもっぱらうわさしています。
「プルサーマル延期」の状況を詳細に報じていただいた日本経済新聞の記事に対しては「同感」だが、国の行政府、地方自治体、原子力委員会、そして産業界も含めた原子力関係機関に対しては、大いに「異議あり」とする解説をさせていただいた。そのことを誤解のないよう付記しておきたい。
「G研」代表