(その2)
<本文転載>
ガソリンエンジンとモーターを併用するハイブリッド車が、ガソリン車と 同じぐらいに安くなってきた。新しいクルマの世紀がいよいよ開く。 ホンダが2月に発売した新型「インサイト」(排気量1.3リットル)は 189万円だ。トヨタ自動車も対抗して、今月発売の3代目「プリウス」 (1.8リットル)では、現行型より30万円近く安い205万円ほどに抑 える。 ハイブリッド車の燃費は軽自動車を上回り、二酸化炭素の排出量を大幅に 減らすことができる。 だが同クラスのガソリン車より数十万円割高で、買うのは環境志向の人に 限られていただけに、低価格競争で普及に弾みがつくよう期待したい。 実際、新型インサイトの受注は目標の2倍強、プリウスも4月初めから予 約を受け付けたところ、もう5万台前後に達したという。環境に優しく、し かもガソリン車並みという値段に、消費者が飛びついているのだ。 4月からの税制優遇に加え、政府・与党がまとめた新経済対策に入った買 い替え補助により、最大40万円ほど負担が軽くなるのも効いている。 世界初の量産車「T型フォード」の発売からちょうど100年となった昨 年は、大型化やスピードを競ってきたクルマのあり方が問われた年でもあっ た。今年は、環境対応を第一に考える時代の出発点にしたいものだ。 JPモルガン証券のリポートは、ハイブリッド車の昨年の世界市場規模は 57万台だが、各国の普及促進策などもあって、2018年には900万台 半ばへ拡大すると予測している。家庭用電源で充電できるプラグイン・ハイ ブリッドや、モーターだけで走る電気自動車の実用化も遠くはない。 そんなエコカーによる脱ガソリン、すなわち低炭素社会への転換の先頭を 日本車には走ってもらいたい。 日本では、家庭で出す二酸化炭素のうちマイカーが約3分の1を占める。 06年度は約8千万トンで、90年より50%近くも増えている。途上国で 車の普及が進んでいるだけに、先進国は脱ガソリンを急がないといけない。 その点で、新経済対策のエコカー購入補助が対象となる車の燃費基準を緩 くしたのは残念だ。雇用への影響が大きい自動車産業を一時的に支援するた めに基準を緩くしたのだが、その結果、脱ガソリンを進める政策効果が甘く なってしまった。政府は支援のハードルを上げていくべきではないか。 自動車の脱ガソリンは、高性能電池の開発といった新たな産業の拡大にも つながる。低炭素社会の実現には、こういう形でさまざまなビジネスチャン スが出てくるはずだ。 低炭素化の取り組みは、自動車業界だけでなく、産業界全体にとっても、 新しい時代を開くに違いない。 |