日本経済新聞(2001年4月26日)

        

■■■[(春 秋)]■■■

<その1>

 以前ここで紹介した朝日新聞の「天声人語」でもそうだったが、各紙の看板コラムで、生々しい原子力問題が取り上げられるようになった。今回紹介する日経に「春秋」と題するコラムも、朝刊1面下の看板コラムである。そこでアメリカのブッシュ政権が原子力を再評価するエネルギー政策を検討していることに絡め、政治とエネルギーとの関係を論評している。

> 1986年4月26日、ウクライナのチェルノブイリ原子力発電所で史上
>最悪の原発事故が起きた。事故によって露呈した問題は黒鉛を減速材に用い
>たソ連の旧式原子炉の技術的な欠陥だけではない。当時のソ連政府が事故を
>認めたのは発生から二日もたってからだった。危機管理にあたる社会のシス
>テムの欠陥が、事故の影響をより大きなものにした。
 チェルノブイリ原子力発電所の事故が起こった当時のソ連政府が、事故発生から2日間も事故の発生そのものを認めなかったのか、それとも知っていて発表を遅らせていたのかは、今となっては不明である。

 スウェーデンの首都、ストックフォルムの北方約100キロに位置するフォルスマルク原子力発電所は、環境モニターのデータの異常に気付き、当事国のソ連も含め、世界で一番早く、ソ連国内の原子力発電所で事故が起こっていると断定し、世界に発表した、と我々は記憶している。

 原子力発電所を保有している国の中央政府は、各発電所の状況を常に把握していないと、ひとたび事故でも起これば、自国民はもちろんのこと、世界の信頼も失墜しかねないものである。また、状況把握と発表が連動して迅速に対応するようシステムを整備しておくことも重要であろう。

 「危機管理にあたる社会のシステムの欠陥が、事故の影響をより大きなものにした」という指摘は、まったくその通りであろう。

    (次につづく)