<原子力の今を考える>「電気新聞」2001年4月16日

温暖化巡るIPCC報告書が物議

      原子力部会「あまりにも評価低い」

                改めて存在意義問われる

<その1>


> 地球温暖化対策を検討する「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)
>第三作業部会」の報告書が十日の原子力委員会に報告されたが、これに委員
>の批判が集中した。温暖化ガスを排出しない原子力発電の評価が「あまりに
>も低かった」ためだ。
 地球温暖化を何とか阻止しなければらない−−これに異議を唱える人物はまずいないだろう。しかし、この活動を中心に進めているのが、「原子力に反対」する環境保護論者たちだからやっかいでなかなか進まない。

 数ある発電システムの中で、二酸化炭素ガス8CO2)を大量に放出し、地球温暖化に最も貢献しているのが、火力発電だ。これに代わって大規模に、しかも安価に発電し、なおかつCO2を放出しない発電システムといえば、原子力発電以外に、いまのところない。また、近い将来(21世紀前半まで)もないと断言してもよい。

> 各国政府が参加するIPCCは1988年に初会合を開いて以来、温暖化
>のメカニズムと社会経済への影響、対策などを研究し、95年に「温室効果
>ガスの濃度を安定させるには、その排出量を90年レベルより削減する必要
>がある」との報告書を発表。これが温暖化対策をめぐる国際交渉のベースと
>なっている。
> 今回の評価報告書は第三作業部会という、主に温暖化対策を検討するグル
>ープがまとめたもの。報告書はナイロビ(ケニア)で開かれたIPCC総会
>(4月4日から6日)でも承認された。
> 原子力は最後の選択肢
> これを受け、環境省が報告書を要約して原子力委員会に報告したわけだが、
>これが委員をぶぜんとさせる結果を招いた。温暖化を防ぐエネルギーとして
>推進してきた原子力を「あまりにも軽んじる書きぶり」だったからだ。
 ここに書かれていることは、まったくそのとおりなのだが、一つ腹立たしい点がある。このIPCC第三作業部会の報告書の記載内容に対しては、もちろんだが、それよりも我が原子力委員会の対応が最も腹立たしい。

 「報告書」が出され、4月4日から6日まで、ナイロビの総会で承認され、それを日本に持ち帰って要約されたものを原子力委員が見て、はじめてぶ然として怒ってみても遅きに失するのだ。

 日本の原子力をはじめとするエネルギー政策を司る原子力委員会が、国際社会で何が論じられているのか、常にウォッチしていなければならない。何故なら、エネルギー問題や環境問題ははグローバルに捉えなければならないからだ。

> 報告書は、温暖化ガスの排出を削減するためのエネルギーとして天然ガス、
>コージェネレーションを真っ先に挙げ、これにバイオマス燃料発電、ゴミ発
>電と続けて最後にようやく原子力発電を記載している。
> これに対して委員からは「順番が違う。削減の量的効果を考えれば原子力
>をトップに書くべき」「仕方なく入れた感がある」「最後になる理由が分か
>らない」など、不満の声が相次いだ。
> たしかに概要版を読むかぎり、原子力の記載はこの一カ所だけ。しかも実
>力にふさわしい評価はなく「最後の選択肢」と見なされては「気に入らない」
>との本音も出よう。
 ここに掲げられた天然ガスもコージェネレーションも、はたまたバイオマス燃料電池もゴミ発電も、CO2をはじめ地球温暖効果ガスを”まったく”出さない発電システムはない。その上、天然ガスを燃焼させる火力発電をのぞいていずれも大規模に発電が可能なシステムもない。

 原子力発電は、温暖化に貢献する如何なるガスも出さないし、スケールの上でも経済性の上でも優れ、これらのエネルギー源と同列に論じられることすら問題があると考える。

    (次につづく)