(その2)
<本文転載>
原油バブルの崩壊が始まったと見ていいのだろうか。 原油価格の急激な上昇傾向に、大きな変化が生じている。 国際指標であるニューヨーク市場の原油先物価格は、7月11日に1バレ ル=147ドルの高値をつけたあと下落し、このところ110ドル台前半で 推移している。下落幅は30ドルを超えた。 原油価格の高騰は、他の燃料や穀物価格に飛び火し、国際的なインフレを 引き起こしてきた。それが一転しての価格下落は、世界経済の安定につなが る動きとして歓迎できよう。 下落したとはいえ、原油価格は1年半前の約2倍の高水準だ。先進各国は、 価格高騰を演出してきた投資ファンドへの規制を一層強化するなど、原油価 格のさらなる下落で協調すべきだ。 原油価格は、2000年代の初めごろは20ドル台だった。だが、中国や インドなどの経済発展で原油需給が引き締まり、先行き値上がりすると読ん だ投機マネーが流入したことで、一気に高騰した。 7月に公表された経済産業省の通商白書は、今年5月時点の原油価格1バ レル=125ドルのうち、実需に基づかない投機マネーによる上乗せ分が5 0ドルあると分析した。 投資ファンドの行き過ぎた行動に対する国際的な批判が高まり、規制に慎 重だった米国が、重い腰を上げたことが流れを変えた。 商品先物取引に関する米国の規制当局が7月下旬、原油市場などで不正な 利益をあげたとして、投資ファンドの一つを摘発した。 米議会には、先物取引の規制を強化する法案も提出された。こうした包 囲網で、投機マネーが市場から逃避し始めたようだ。 このほか、世界的に景気が弱含みとなり、原油需要が伸び悩むとの見方が 浮上してきたことも、原油価格の下落につながった。 ただし、今後も一本調子で原油価格が値下がりするかどうかは不透明だ。 石油輸出国機構(OPEC)には、減産の動きも見られる。イラン情勢など が緊迫すれば、再上昇は必至とされる。 省エネルギーの推進や、代替エネルギーの開発などの手をゆるめてはなる まい。 燃料費の高騰に苦しんできた日本にも、いずれ値下がりした原油が中東な どから到着する。その値下がり分を、速やかに小売価格に反映させるペきだ。 ガソリンや灯油などの価格が下がれば、冷え込んだ消費心理も、少しはや わらぐのではないか。 |