朝日新聞(2008年7月13日)


<朝日新聞社調査>

   原発自治体の4割

         「保安院は独立を」

   原発自治体アンケート

         「規制と推進分離を」

(その4)


 <38面の本文転載>



   原発自治体アンケート==保安院に不信感

                                               全国21の原子力発電所立地自治体アンケートで、8市町村長が経済産業  省から原子力安全・保安院の分離・独立を求めており、自治体側の保安院に  対する不信感が浮き彫りになった。             =1面参照                                       分離・独立を求めたのは、宮城県石巻市、福島県富岡町、茨城県東海村、  新潟県柏崎市、福井県おおい町、松江市、佐賀県玄海町、鹿児島県薩摩川内  市の8首長。中越沖地震を経験した経産省出身の泉田裕彦・新潟県知事も、  同じく分離・独立を求める。「規制と推進が同じ役所内にあることで住民は  不信感を持っている」                                                               米国は74年、原発の推進部門と規制部門を統括していた原子力委員会   (AEC)を撤廃し、推進を担うエネルギー省と、規制をつかさどる米原子  力規制委員会(NRC)に分離した。フランスでは06年、産業省、環境省、 厚生省の3省の管轄下にあった規制機関の原子力安全委員会(ASN)が独  立した。                                                                     保安院は、01年の省庁再編を機に発足。院の人事や予算について、経産  相と直接やり取りできる「特別の機関」で、推進部門である経産省資源エネ  ルギー庁からは形式上独立している。また、原発の建設、改造時の安全審査  など、保安院による規制は、内閣府に置かれている原子力安全委員会による  チェックを受ける。保安院の薦田康久院長は「国際原子力機関(IAEA)  の審査でも、規制と推進が分離されているとの評価を受けている」と説明す  る。                                                                       しかし、独立性をいくら高めても、推進と規制の両部門が経産省内に同居  する不透明さは残る。                                                               東北大大学院文学研究科、長谷川公一教授(社会学)は「原子力業界は専  門性が高く、閉鎖的だ。チェック機関として機能させるためには、保安院の  規模を拡大し、強い権限と自立性を持った公正取引委員会のようにすべきだ」 と指摘した。                                               (長富由希子、奈良部健、佐々木英輔)