日本経済新聞(2008年1月20日)


<世界を読む>

原発ラッシュ 新興国熱く

       中東・東南アジアに拡大

           存在感増す日本■核管理に危うさ

(その4)


 <本文転載>



 問題は新興国を巻き込んだ原発ムードが核拡散に直結しかねないことだ。 
各国から出てくる使用済み核燃料をどうするのか。個別に核燃料再処理まで 
手がければ核の脅威がばらまかれる。                  
                                   
 このためブッシュ政権は06年2月に核燃料サイクルに関する国際原子力 
パートナーシップ(GNEP)【?】を提唱した。再処理を手がける国と、 
その他の国に分け、核燃料を管理するものだ。参加国は拡大しており、実現 
に向けて動いている多国間の核管ば事実上これしかない 実はGNEPでも 
日本勢が中心的な役割を果たす。カギを握る「高速増殖炉」は世界的には開 
発が下火になったが、三菱重工は試験炉「もんじゅ」などでノウハウを蓄積 
しているからだ。佃和夫社長は「日本の高速増殖炉を世界標準炉にしたい」 
と強調する。                             
                                   
 ただ、GNEP実現を危ぶむ声は少なくない。全米科学アカデミーは「技 
術と資金の両面でリスクが大きい」として見直しを促し、米議会も予算承認 
を遅らせている。                           
                                   
 米国の次期大統領の意向も焦点だ。民主党は原発の急拡大に慎重。GNE 
P構想そのものの撤回はなくても、計画の推進にブレーキがかかる恐れは十 
分にある。(カイロ=金沢浩明、ワシントン=藤井一明、産業部・佐藤紀泰)





【?】GNEP

                                                              グローバル・ニュ−クリア・エネルギーパートナーシップの略。06年2  月に米政府が打ち出した使用済み核燃料サイクルに関する国際協力構想。オ  リジナルメンバーは米国、日本、中国、フランス、ロシア。昨年末までに米  を含め19カ国に拡大した。原発推進、使用済み燃料の国際管理、核不拡散  体制の強化を目指す。各国の原発から出る使用済み燃料を米日仏ロなどが引  き取って再処理・管理する一方、信頼できる途上国に核燃料の供給・回収を  保証する。米ロにはイランの核問題に対応する狙いもあった。       

【?】原子力ルネサンス

                                                           第一次石油危機を契機に70年代に第一次原発建設ブームが起きた。79  年のスリーマイル島、86年のチェルノブイリの事故や80年代半ば以降の  原油価格低下でブームは終息。現在の第二次ブームは復活の意味を込めて   「原子力ルネサンス」と呼ばれる。                                                         米アラバマ州で85年から止まっていたブラウンズ・フェリー原発1号機  が07年に再稼働したのは象徴的な事例。英政府もチェルノブイリ後の「脱  原発」方針を転換し、原発新設を解禁する。エジプトも86年以来、凍結し  ていた原発計画を再開する。