===ガラスで固めて放射能減衰待つ===

>◆50年間ほど保存

> 幌延町にできるのは核燃料サイクル開発機構の「深地層研究所(仮称)」。
>地下深くまで坑道を掘って地層の状態などを調べる。北海道の堀達也知事は、
>核物質を持ち込まないことを条件に、建設計画を受け入れる意向を表明した。

> 日本は原発で使い終えた核燃料を再処理工場に運び、プルトニウムなど燃
>える成分を取り出して再び利用する計画だ。この過程で、再利用しようのな
>い“核のゴミ”がどうしても残る。高レベル放射性廃棄物と呼ばれる廃液だ。
>鉱山から掘り出した天然ウランの約三万倍もの強い放射能を帯びている。

> 一般に放射性元素は放射線を発しながら次第に放射能を弱めていく。短時
>間に放射能を失う元素もあるが、廃液が含む元素はこの期間が数千年を超え
>る。生活環境からきちんと隔離しておかないと、重大な汚染を招く心配があ
>る。

> 廃液はまず、飛散を防ぐためガラスと混合し、安定な「ガラス固化体」に
>する。これを専用施設でそのまま50年ほど貯蔵し、放射能が自然に弱まる
>のを待つ。天然ウランの一万倍以下になったところで最終処分する。

> 最終処分のアイデアは色々あった。例えば南極の氷の上に放置しておく。
>核分裂の熱で自ら氷を解かしながら何キロメートルも下の岩盤に到達し、人
>間の生活環境から隔離されるだろう。しかし、自国で生じた廃棄物は国内で
>処分するのが国際的なルール。日本を含む多くの国は、自国の地下深くに隔
>離する地層処分を採用することにしている。
 確かに南極の氷の中に処分するアイデアも出たことはあったが、それも一つのアイデアの域を出ず、学術論文になって発表されたかは定かではない。また、自国で発生した廃棄物は放射性廃棄物に限らず自国内で処分するのが原則だが、将来的には処分をビジネスとして廃棄物を引き受ける国土の広い国が現れても何ら不思議でないと思っている。現に使用価値の少ない広大な砂漠を抱える国は、外国が困っている廃棄物処分を引き受ければ、大きな経済効果をもたらすのではないか、と密かに検討している国もあると聞いている。

>◆金属容器に格納

> ガラス固化体はまず、厚さ20センチメートルのオーバーパックという金
>属容器に格納する。固化体が地下水に触れて放射性物質が溶け出すのを防ぐ
>ためだ。オーバーパックはさらに粘土でできた緩衝材に包み、300メート
>ル以上深い地下の岩盤の中に埋め込む。埋設作業は被ばくの恐れがあるので
>無人で行う必要がある。

> 放射能が天然のウラン鉱石並みに弱まるには千年から一万年かかる。その
>間は容器などの防護壁がしっかりしていなければならない。

> 幌延町にできる新施設は堆積岩の地層を対象に、岩盤の強度や、地下水が
>埋設物に及ぼす影響などを調べる。核燃機構はこのほか岐阜県の東濃地科学
>センターに「超深地層研究所」を計画しており、こちらでは結晶質の硬い地
>層で研究する予定だ。
 円筒形のガラス固化体をつつむステンレス製の容器(キャニスター)の大きさは、高さ約1.3m、直径約0.4m。ここでオーバーパックと言っているのはキャニスターの事だとすれば、その厚さ20cmというのはあり得ない。半径のことではないかと思われる。

 岐阜県の東濃地域は、日本で最大規模のウラン鉱床が存在しており、核燃料サイクル開発機構(旧称「動力炉・核燃料開発事業団」)がその発掘を行ってきたところだ。ウランの採掘はもう行ってはいないが、この東濃地域は、日本の基盤岩の一つであるカコウ岩が広く分布しており、核燃機構は、1994(平成6)年、その地に「東濃地科学センター」を正式に発足させ、地層科学研究に取り組んできた。

 核燃機構は、将来の高レベル放射性廃棄物の地層処分に向けた本格的な超深地層研究所を、ここ東濃地区に立ち上げようと準備を進めている。北海道の幌延とは違った地層の研究ができ、将来の処分地選定の際に役立たせようとしているのである。

>◆なし崩しを懸念

> 幌延も東濃もあくまで研究施設とされているが、地元はなし崩し的にガラ
>ス固化体が持ち込まれるのではないかと心配している。このため北海道は高
>レベル放射性廃棄物の持ち込みを「受け入れ難い」とする条例を可決した。

> 現在、国内にあるガラス固化体は青森県六ヶ所村の核燃料サイクル施設を
>中心に340本。しかし六ヶ所村にできる再処理工場が順調に稼働した場合、
>2020年には4万本がたまることになる。

> 最終処分にあたるのは電力会社などが先ごろ設立した「原子力発電環境整
>備機構」で2030−40年代に埋設処理を始める予定。ただ、最終処分地
>の選定などはこれからだ。決定が遅れると、行き場のないガラス固化体があ
>ふれかえる恐れもある。

> 地層処分の安全性は確かなのか。納得のいく科学的データが得られるかど
>うかが、原子力の未来を左右する。
 幌延も東濃も、もちろん研究施設に過ぎないが、ただこういう研究は、調査研究の結果によっては、同じ地点か近隣地点で最終処分場が見つかれば、これにこしたことはない。ただ、最終処分場は、青森県六ヶ所村などの再処理工場から運び込むため、近くに港の存在が望ましいが、少なくとも東濃は、相当内陸に位置しており、適した地点ではない。

 最終処分の実施主体となる、電力業界の「原子力発電環境整備機構」は設立され、その初代理事長には、元東京電力副社長の外門一直(ともん・かずなお)氏(68)が就任したばかりだ。

 処分場の操業はいまから30〜40年先を見越してはいるが、まだ先は長い。この20年くらいで処分場が決まればいいが、これは難航するだろう。日本全国、可能性のある地元は、とにかく「金のなる木」を誘致したいのは、自治体の首長としてはやまやまだが、軽々に手を挙げるわけには行かないだろう。

 その第一は、誘致の意志が公になり、住民の反対運動が盛んになって、次の選挙で落ちては元も子もなくなるからだ。第二は、手を挙げるのがあまり早いと、地元へ入るお金の額が少なくなると考えているのであろう。でも遅すぎると、トンビに油揚げをさらわれる事態も考えられる。ここは思案のしどころである。

         「G研」代表