企業が電気代を節約するために導入した自家発電事業が、原油高のあお
りを受けて、苦境に立たされている。この6年間に原油価格が約2倍に上
昇し、自家発電コストが、電力会社の電気料金よりも高くつくようになっ
たからだ。自家発電を電力会社からの供給に切り替える企業が相次ぎ、自
家発電用の設備販売から撤退する企業も出ている。 (西沢隆之)
電力購入転換1年で原発1基分
自家発電は、企業が、事業所の空いたスペースにA重油などを燃料に使
う発電機を設置して、電気を作る。設備の設置から運用、管理まですべて
専門の業者に任せる方法と、企業自身が行う方法がある。重油が安ければ
電力会社から電気を買うよりも安く発電できるため、2000年前後に導
入企業が増えた。
経済産業省によると、05年度末で3447の自家発電が事業認可を受
けている。電力会社も顧客離れを食い止めるため自家発電の子会社を作っ
た。
ところが原油価格の高騰に伴ってA重油が値上がりし、自家発電コスト
のほうが電気料金よりも割高になってしまった。原油価格は、8月中旬以
降、中東情勢の緊張緩和や米国の景気減速などの影響で下落してきた。し
かし、2000年ごろと比べればなお約2倍の高水準にあり、高止まりは
今後も続くとの見方は多い。
このため、自家発電ビジネスから撤退したり、事業を縮小する企業が相
次いでいる。自家発電設備大手の「エネサーブ」(本社・大阪市)は今年
8月、重油を使った自家発電装置の製造・販売車業から撤退する意向を表
明した。九州電力の子会社「西日本環境エネルギー」も昨秋から自家発電
事業を縮小し、東京電力も今春、子会社の「マイエナジー」を07年度上
半期をめどに解散することを決めた。
電気を使う企業の間でも自家発電を見直す動きが広がっている。スーパ
ー大手のイトーヨーカ堂は、全国約180店のうち39店の電力を自家発
電でまかなってきたが、マイエナジーの撤退後は7店で東電から電気を購
入する。ヨーカ堂はすでに西日本環境エネルギーが05年未に撤退した8
店で、九州電力からの電気購入に切り替えた。
自家発電から電気購入への切り替えは、05年度に電力9社合計で約
108.3万キロ・ワットに及んだ。ほぼ原発1基分に相当する量だ。
06年度も大量の切り替えが続いている。キリンビールも、11工場の
うち5工場で自家発電を導入しているが、今年中に重油ほど値上がりして
いない天然ガスなどに燃料を転換したり、電気の購入に切り替えることを
検討している。
電力業界の事情に詳しいUBS証券の伊藤敏憲シニア・アナリストは
「原油価格はしばらく高止まりが続くだろう。重油を使った自家発電の休
止・廃棄の動きは今後、広がりを見せる可能性が高い」と指摘している。
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