日本経済新聞(2006年4月10日夕刊)

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[途上国で温暖化ガス削減]

排出権の取得事業急増

             先進国の政府・企業==日本は2位、18件

(その1)

 地球温暖化は、何がなんでも止めなければならない。さもなければ地球上の 我々人類を含めた全生物の滅亡につながることは、明白なようである。だから その防止は非常に重要なのである。

 重要ではあるが、単なる好き嫌いで防止策を選んでいるゆとりはない。最も 効率的な方法で、なおかつ経済活動にマイナスの影響をできるだけ与えないも のを採用しなければならない。

 その意味からして京都議定書は、21世紀最初にして最も重要な国際条約で なければならない。ところがその目標期限の2012年が刻々と近づきつつあ るにも関わらず、温暖化ガス削減目標値の達成に近づきつつあるどころか、む しろ増加傾向にあるというではないか。

 そこのところは京都議定書にはうまい抜け道が書かれているようで、削減義 務が課せられている先進国が自国内だけでは目標が達成できそうにないとなる と、温暖化ガスの削減義務はないが、その排出量は極めて多くなっている途上 国に、先進国が投資したり、技術移転したりして削減効果を上げれば、その分、 その先進国の削減目標の義務に加算してもいいことになっている。それを議定 書では「クリーン開発メカニズム(CDM)」と呼んでいる。

 恐らく、京都議定書が考えられていたころは、削減目標の大部分は自国内で 達成させ、多少達成できそうにないで残った分は、途上国を助けて削減できれ ば、地球全体にとっては好ましい傾向と考えられていたのであろう。

 ところが目標期限まであと6年となった今、状況は逆転し、先進国内での削 減はほとんど成功せず、ここに至っては目標義務のほとんどを途上国でまかな えばいい、というところに来つつあるようだ。そこのところは今回紹介する日 経新聞は次のように報じている。

 「現時点のCDM事業全体で、2012年までに温暖化ガスを8億トン(二 酸化炭素に換算)削減できる。温暖化ガス削減義務を負う各国・地域の199 0年時点での排出量合計(約120億トン)の7%弱に相当する」

 日本は、1990年時点の排出量から6%削減して2012年を迎えること が義務づけられているから、CDMによる7%弱はすでに達成した数値を示し ていることになる。

 「温暖化ガスが減らせるなら、それが自国内であろうと発展途上国であろう と、地球全体で減らせたのだからいいじゃないか」といった意見もある。しか し、本当にそうだろうか。

 温暖化防止の国際プロジェクトが2012年で終わるならそれでもいいだろ う。しかし、地球温暖防止対策は、今後エンドレスに続けなければならない問 題だろう。そのほんの「さわり」ともいえる京都議定書の段階で、経済的にも 技術的にも進んだ先進国といわれる国々が、国際的に約束した削減目標を、自 国内で易々と達成できないとは、実に情けないと言わざるを得ない。

 「先進国は、議定書の定める2012年の削減目標を達成するため、CDM 事業を急ぐ必要に迫られている」ということだ。また、日本も例外ではない。

 「日本は1990年の排出量(12億3千7百万トン)の6%を削減する目 標を掲げているが、目標の約4分の1をCDM事業などで達成する方針。当面 の排出量は増加傾向にあり、CDMを増やし排出権を多く取得せざるを得ない 見込み」

 ということである。そして、

 「排出権を取得した先進国の政府、企業は主に自国の温暖化ガス削減の不足 分を補うために使う」

 CDMを「不足分を補う」程度では最早ないことだけは確かなようである。 このような小手先の対策では、地球全体を覆いつつある二酸化炭素層を打ち破 るどころか、薄くすることもできないだろう。

             「G研」代表

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