読売新聞(2005年9月9日)

ドイツ再生への選択(4)

  [環境先進国 岐路に]

        「発電用風車が景観破壊」

<その2>


 「環境先進国が誇る発電用風車で、その数は今年6月末で1万6826基。風力では世界一の1万7000メガ・ワットを生み、国内では水力発電を抜いて総電力の約5%を賄っている」

 それでもまだ5%か、と思う節もあるが、一国の総発電容量の5%を風力で賄うとなると、これは大きな環境破壊という代償を払わねばならなかったということである。

 「だが、風車は陸上では飽和状態に近く、北海やバルト海に設置場所を求めざるを得ない」

 海上への風車の設置は、景観を悪くするばかりではなく、渡り鳥や海洋生物への影響も懸念されているという。となると、各種環境保護団体の間にも意見が分かれてくる。

 読売の記事によると、自然保護連盟のオラフ・チムプケ会長は、「風力発電の増強には賛成だが、それは、鳥獣の保護が保障されるという前提での話だ」といっているという。

 風力発電は、自然にはかならずしも優しくなく、もしろ景観や動植物の敵だったのである。

 また、「環境先進国の面目が、納税者や消費者の犠牲によって保たれている事実も見逃せない」と指摘している。これはどういうことかというと、

 「風が凪いでも暴風でも運転できない風力発電は、その不安定な電力供給の穴埋めを、火力発電に頼っている。ドイツ第2テレビによると、現在、石炭火力発電施設6基が、いざというときにフル稼働できるよう、待機運転を強いられている。今後、風力発電施設が増えれば、“尻ぬぐい役”はもっと必要になる」

 風力発電は、風がない日にはもちろん発電しない。反対に台風など一定以上の強風が吹く日にも運転を休まなければならない。そういった日のため、いつでも発電できる火力発電所をスタンバイさせておかなければならないというのだ。

 風力発電はとにかく高くつく。それをどのようにカバーしているか?

 国からの補助と電力会社への買い上げ義務化で、高い風力発電や太陽光発電の電気料金を表面上カバーしているのである。しかしそのしわ寄せは、補助金は国民の税金からであり、電力会社の買い上げ金は電気代の上乗せとなって消費者に跳ね返っているのである。

 「風車が急テンポで国土を覆うようになったのは、補助金のほか、政府が再生可能エネルギーの買い上げを電力会社に義務づけたからだが、最近、日本を抜いて世界一になった太陽光発電では、一般電気料金の3倍で買い上げられている」

 ここで気になるのは、太陽光発電でドイツに抜かれたとはいえ、日本は世界第2位の太陽光発電保有国であるということだ。

 「シュピーゲル誌によると、こうした経済的不合理によって電気料金は過去5年間で35%上昇、電力集約型産業は電気料金の安い近隣諸国への工場移転を検討しているという」

 電力料金が高くなれば、企業は安い国へ移転していく。移転できない中小企業や国民は我慢するほかないだろう。

 「原発アレルギーの強い国民は今後も、画家たちが愛した風景の破壊と高負担に耐えられるのか。環境先進国は岐路に立っている」

 なかなか名文のフレーズで締めくくっている。しかし、ドイツ国民の大多数が原発アレルギーが強いとは考えにくい。たまたまシュレーダー政権が発足した7年前、社民党単独では政権が取れないため、台頭してきた緑の党と連立を組んだためである。

 エネルギー政策や環境政策を重要視しなかった社民党が、それらを安易に反原子力の緑の党に任せたところに大きな失敗がある。

 社民党・緑の党連立政権によるエネルギー・環境政策の失政は、経済政策にまで波及し、失業者の増大と経済の低迷をもたらしたといわれている。そこで先の総選挙で、7年ぶりの政権交代のチャンスがあるといわれ、キリスト教民主・社会同盟は気負いたったのだが、あまりにも気負いすぎたのか、消費税の2%アップと所得税に25%一律化を打ち出したため、国民の支持を減らしてしまったという。

 そこで、政権担当能力のある社民党とキリスト教民主党による大連立の可能性が出てきたといわれている。いずれにせよ緑の党のような反原子力の政党を政権与党に入れなければ、ドイツのエネルギーや環境政策はもとより、経済政策まで好転するだろう、と我々は思っている。

            「G研」代表

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