<社 説>=====「MOX工場」
核燃料サイクル実現への前進だ
<その2>
原子力発電の安定利用を可能にする「核燃料サイクル」の実現へ一歩近 づいた。 核燃料サイクルでは、使用済み核燃料からプルトニウムなどを取り出し、 燃料として加工して再利用する。 このサイクルに欠かせないウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX) 燃料工場について、青森県が六ヶ所村への立地を了承した。建設を申し入 れていた「日本原燃」と近く基本協定を締結する。 六ヶ所村では、「原燃」の再処理工場が2007年の操業開始を目指し、 最終段階の試験中だ。ここで使用済み核燃料からプルトニウムなどを取り 出す。 隣接して建設されるMOX工場で、このプルトニウムを再び燃料に加工 し、原子力発電所に出荷する。2010年ごろには操業を始める予定だ。 使用済み核燃料には、再利用が可能なプルトニウムなどが、95%以上 残っている。核燃料サイクルの利点は、これを有効活用できることだ。廃 棄物となる放射性物質の量も大幅に減る。 高速増殖炉という、次世代の原子炉が実用化されれば、利用可能なプル トニウムの量はさらに増える。 エネルギー資源に乏しい日本は原子力を基幹電源と位置づけてきた。高 速増殖炉はまだ先になる。だが、現在の原子炉でも、核燃料サイクルが実 現すれば原子力の基盤はより強固になる。細心の注意を払って建設に当た り、早期に操業を開始すべきだ。 原子力を巡っては、最近、事故やトラブルが続いている。その影響でM OX工場も、了承を得るのが遅れた。 「原燃」の立地申し入れは2001年だった。だが、県が独自に安全性 を確認していた最中に再処理工場で手抜き工事が発覚し、県は検討を中断 していた。 その後、「原燃」が安全性確保の体制を強化したことから検討を再開し、 了承することになった。 原子力に対する信頼を確かなものにする、こうした努力が大切だ。 MOX燃料を既存の原子炉で使う「プルサーマル」について、地元自治 体の了承を得るにも、信頼は不可欠だ。 電力業界は16〜18基でプルサーマル実現を目指している。だが、四 国電力などを除き、交渉は進んでいない。東電、関電は、不祥事や事故に よる不信感から地元と話し合いもできない状態だ。 海外では欧州を中心に、プルサーマル方式を採用している原発が多数あ る。 プルサーマルがあってこその核燃料サイクルだ。国と電力業界は全力で 実現を急がなくてはならない。 世界の軽水炉におけるMOX燃料の使用実績 −−−−−−−−−−−−−− 国 名 使用原子炉の数 −−−−−−−−−−−−−− フランス 21基 ドイツ 14 アメリカ 6 ベルギー 3 スイス 3 イタリア 2 日 本 2 オランダ 1 スウエーデン 1 −−−−−−−−−−−−−− (出典:資源エネルギー庁「原子力2004」他) *2003年12月現在。合計55基。日本の2基は試験的に実 施したもので現在は行われていない。 |