読売新聞(2005年4月15日)

<社 説>=====「MOX工場」

      核燃料サイクル実現への前進だ

<その2>


 原子力発電の安定利用を可能にする「核燃料サイクル」の実現へ一歩近
づいた。

 核燃料サイクルでは、使用済み核燃料からプルトニウムなどを取り出し、
燃料として加工して再利用する。

 このサイクルに欠かせないウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)
燃料工場について、青森県が六ヶ所村への立地を了承した。建設を申し入
れていた「日本原燃」と近く基本協定を締結する。

 六ヶ所村では、「原燃」の再処理工場が2007年の操業開始を目指し、
最終段階の試験中だ。ここで使用済み核燃料からプルトニウムなどを取り 
出す。

 隣接して建設されるMOX工場で、このプルトニウムを再び燃料に加工
し、原子力発電所に出荷する。2010年ごろには操業を始める予定だ。

 使用済み核燃料には、再利用が可能なプルトニウムなどが、95%以上
残っている。核燃料サイクルの利点は、これを有効活用できることだ。廃
棄物となる放射性物質の量も大幅に減る。

 高速増殖炉という、次世代の原子炉が実用化されれば、利用可能なプル
トニウムの量はさらに増える。

 エネルギー資源に乏しい日本は原子力を基幹電源と位置づけてきた。高
速増殖炉はまだ先になる。だが、現在の原子炉でも、核燃料サイクルが実
現すれば原子力の基盤はより強固になる。細心の注意を払って建設に当た
り、早期に操業を開始すべきだ。

 原子力を巡っては、最近、事故やトラブルが続いている。その影響でM
OX工場も、了承を得るのが遅れた。

 「原燃」の立地申し入れは2001年だった。だが、県が独自に安全性
を確認していた最中に再処理工場で手抜き工事が発覚し、県は検討を中断
していた。

 その後、「原燃」が安全性確保の体制を強化したことから検討を再開し、
了承することになった。

 原子力に対する信頼を確かなものにする、こうした努力が大切だ。

 MOX燃料を既存の原子炉で使う「プルサーマル」について、地元自治
体の了承を得るにも、信頼は不可欠だ。

 電力業界は16〜18基でプルサーマル実現を目指している。だが、四
国電力などを除き、交渉は進んでいない。東電、関電は、不祥事や事故に
よる不信感から地元と話し合いもできない状態だ。

 海外では欧州を中心に、プルサーマル方式を採用している原発が多数あ
る。

 プルサーマルがあってこその核燃料サイクルだ。国と電力業界は全力で
実現を急がなくてはならない。


  世界の軽水炉におけるMOX燃料の使用実績
    −−−−−−−−−−−−−−
     国 名   使用原子炉の数
    −−−−−−−−−−−−−−
    フランス     21基
    ドイツ      14
    アメリカ      6
    ベルギー      3
    スイス       3
    イタリア      2
    日 本       2
    オランダ      1
    スウエーデン    1
    −−−−−−−−−−−−−−
    (出典:資源エネルギー庁「原子力2004」他)
    *2003年12月現在。合計55基。日本の2基は試験的に実
     施したもので現在は行われていない。