日本経済新聞(2004年4月26日)

      環境税、温度差くっきり

<その3>


 環境税の新設を画策しているという環境大臣の発言の中で、こういうくだり がある。

 「オフィスや家庭でのエネルギー消費が増えているのが問題だ。石油価格は じりじり上昇しているのに、エネルギー省費が減らないのは、日本の省エネの 水準がもともと高いなど、(価格上昇の影響を抑える)セーフティーネットが 効きすぎている面がある」

 これはまさしく、環境税を課してエネルギー価格を上昇させても、省エネは それほど進まない、ということを意味するのじゃないだろうか。

 省エネは、国民の意識改革でも、価格上昇でもあまり期待できないというこ とである。また、省エネで二酸化炭素の排出量を削減しようとしても、期待薄 ということにつながる。

 「原発はCO2の排出抑制につながるという意味で重要な電源だ。電力会社 は電力需要や廃棄物処理コストをにらんで建設計画を考えるのだろうが、(建 設基数が減ることで)率直に言って対策上の計算の見直しが必要となる」

 これはまったくの認識不足だ。原発の建設が計画通り進まないのは、「電力 会社は電力需要や廃棄物処理コストをにらんで建設計画を考える」からではな い。最大のマイナス要因は、政府のエネルギー政策が、世論任せで、一本筋が 入っていないところにある。

 「原発はCO2の排出抑制につながるという意味で重要な電源」という認識 があるなら、「対策上の計算の見直し」に精力を使うのではなく、環境面から 原子力の推進を如何に進めるか、に邁進してもらいたいものである。

 「CO2排出が少ない天然ガス利用への転換を国家戦略として進めるべきだ」

 天然ガス利用の国家戦略もいいが、CO2をまったく出さない原子力利用の 国家戦略を再度立てることが先決だろう。

  問題意識高め目標達成                      
                     環境相 小池 百合子氏  
                                  
 −−環境省は最近、日本の温暖化ガスの排出量が2010年前後に19 
90年比で約4%増えるとの試算をまとめた。6%減という議定書の目標 
は達成困難では。                          
                                  
 「達成の道は遠いとの印象を与えたかもしれないが、まずは現実を直視 
しようということで試算を出した。排出削減の国際公約をしているのは厳 
然たる事実。国民や企業を巻き込んだ新たな対策を打ち出したい」    
                                  
 −−目標達成が危ういとの危機感が国民の間にまだ薄いのでは。    
                                  
 「オフィスや家庭でのエネルギー消費が増えているのが問題だ。石油価 
格はじりじり上昇しているのに、エネルギー省費が減らないのは、日本の 
省エネの水準がもともと高いなど、(価格上昇の影響を抑える)セーフテ 
ィーネットが効きすぎている面がある」                
                                  
 「ただ、国民の環境問題への関心は非常に高い。国政モニター調査でも 
ほぼ100%の解答者が温暖化防止に取り組みたいと答えている。(省エ 
ネなどの)啓発活動を進めれば、国民は積極的に動くとの確信はある」  
                                  
 −−啓発活動だけで十分か。                    
                                  
 「数字合わせはしたくないが、現実には削減目標の設定をしたうえで、 
温暖化対策税といった名の環境税や排出量取引など、経済的な手法を加味 
して目標を達成したい。中でも税は幅広くかけることになれば、問題を広 
く知らしめて意識を高めるという意味でも非常に有効だ。どんな経済的手 
法が効果的で、経済への影響がどう出るのか、政策のレシピを色々考えて 
いるところだ」                           
                                  
 −−温暖化対策の切り札とされる原子力発電所の新設が進まないのは誤 
算だったのでは。                          
                                  
 「原発はCO2の排出抑制につながるという意味で重要な電源だ。電力 
会社は電力需要や廃棄物処理コストをにらんで建設計画を考えるのだろう 
が、(建設基数が減ることで)率直に言って対策上の計算の見直しが必要 
となる」                              
                                  
 「国のエネルギー戦略を考える場合、地球温暖化防止という観点からは、
(炭素の含有比率が少ないエネルギーを利用する)脱炭素化が基本になる。
油田開発もさることながら、CO2排出が少ない天然ガス利用への転換を 
国家戦略として進めるべきだ。そのためにも経済的手段は必要だ」    
(次頁につづく)