朝日新聞(2003年6月29日)

   暑〜いイタリア  停電で大混乱

      ローマなど600万人影響  エレベーター缶詰も


 我が国の首都圏が経験するかも知れないような大停電がイタリアで起こっていたというニュースの記事が朝日新聞に掲載された。「総合」面の左下2段の小さな囲み記事だが、内容は非常な重みを含んでいる。

 停電の原因は、記事にも明記されているが、イタリアが国民投票で脱原発路線に変更し、原子力が主要な電源とするフランスなどからの輸入に頼ってきたことにある。

 国内では原子力発電所の建設を断念し、他国の原子力の電気を輸入する政策はあまりにも身勝手すぎると、世界のエネルギー関係者から批判を浴びていたことだ。それが今度、停電という形で世界が知ることとなった。

 「地球温暖化の原因となる二酸化炭酸ガスを放出する火力を止めよう」「二酸化炭酸ガスを出さないが放射性廃棄物を出す原子力も止めよう」などといった発言は簡単だ。しかし、エースの交代は、後継者が見つかり、十分に実績を積んでからでも遅くはないだろう。

 脱原発を急ぎすぎて大停電を引き起こしたイタリアの轍を踏んではならない。

 このような重大なニュースの報道は1面トップに大きく扱ってもらいたい。停電は、最早電力業界だけの問題ではない。停電がもたらす影響は、エレベーターや信号が止まる程度ではすまない。ましてや首相が汗をかいたためシャワーをして議会に遅刻したことなど、まったく問題になるような事象ではない。

 心配なのは、停電の時、重い病気にかかっていた人、手術中だった患者には影響はなかったか。大きな病院は自家発電システムを装備しているというが、切り替えはうまくいっただろうか。

 イタリアの大停電ニュース、停電で被った影響、停電を経験したあとの原子力への考えの変化など、是非とも第二段、第3段で詳細に取材し、正しく報じてもらいたいものである。

               「G研」代表

   暑〜いイタリア  停電で大混乱                
                                  
       ローマなど600万人影響  エレベーター缶詰も    
                                  
 [ローマ=郷富佐子]記録的な猛暑のため、ローマやミラノなどイタリ 
アの主要都市で26、27の両日、停電が相次いだ。需要過剰によるシス 
テムダウンを恐れた国内の電力各社が送電を一時停止したものだが、事前 
通告がなかったため混乱が起こり、約600万人が影響を受けた。マルツ 
ァノ生活活動相は節電を呼びかける一方、「問題の行方は暑さが左右する」
とも話しており、政府もお手上げ状態だ。               
                                  
 ローマでは連日、「6月としては212年ぶり」(レプブリカ紙)とさ 
れる猛暑が続いている。ミラノなどでも35度以上を記録。冷房設備のフ 
ル稼働で需要が急増したうえ、雨不足で水力による国内の発電量も低下。 
さらに電力輸入先のフランスが25日から供給を削減したため、一気に深 
刻化した。                             
                                  
 国内の電力各社は26日朝から、事前通告なしに地域ごとの1時間程度 
の送電停止に踏み切った。エレベーター内に閉じこめられたり、信号機が 
消えたりして大騒ぎになった。ベルルスコーニ首相も「汗をかいたのでシ 
ャワーを浴びた」と上院に遅刻した。                 
                                  
 イタリアは87年に原発の是非を問う国民投票を実施し、脱原発した。 
現在は国内で火力、水力による発電をしているほか、フランスやスイスな 
どからの供給に頼っている。今回の騒ぎに、中道右派の与党議員からは  
「輸入に頼らず、原発に戻るべきだ」との声も出ている。