<論 点>======================宮崎 慶次
                          (大阪大学名誉教授)

         

温暖化対策 原発は現実的

<その1>

 京都議定書が、環境保護と議長国の責任という御旗の下、国会でさした
る討論もなく批准された。中国はじめ途上国が枠外となり、調印したはず
の米国が離脱を宣言、発効は温室効果ガス排出量取引で有利な展開を狙う
ロシアの掌中にある。議定書は、循環型社会構築への期待の反面、目標の
実行可能性への懸念、厳しい経済状況下での中国や米国との競争力の低下、
産業空洞化の加速、雇用の悪化など将来的な不安要因もはらんでいる。 
 この最初のパラグラフだけでも多くの重要な示唆を含んでいる。その一つは、京都議定書が「国会でさしたる討論もなく批准された」こと。はたして何人の国会議員が事の重要性を理解していることか・・・。

 また、先生は、議定書がはらんでいる「将来的な不安要因」として、数例を上げておられるが、「不安要因だらけ」と、ここではコメントしておこう。

 昨年秋のマラケシュ会議では、温室効果ガスの削減目標(日本は6%)
の未達成分は1.3倍して次期約束期間の削減分に上乗せされ、排出量取
引資格が制限されることも議論された。ツケは十年後に払う可能性を多く
の国民や、国会議員、賛同者は承知の上であろうか。         
 「ツケ」が雪だるま式に増えていくことなど、一般国民はおろか、国会議員や賛同者まで承知などしているとは思えない。これが自分の借金なら何とかしようと思うだろうが、温室効果ガスの削減目標など、「誰かが何とかするだろう」といった、戦後の日本人特有の無責任な意識が働いていることは確かなようだ。

            (次につづく)